逮捕の増加と行政処分の関係性
法律違反をして逮捕されるのは当然の結論と言えますが、
罪の軽重を問わず、あらゆる法律違反をすべて取締り、次から次に刑務所に受刑者を送り込むというのも無理な話です。
現実的な話としては、行政指導で改善する可能性がある違反の場合は、いきなり逮捕をする必要はなく、違反者の自発的な改善を待つというのがほとんどの行政対応ではないでしょうか。
しかし、最近、廃棄物処理法違反であることは間違いないものの、「いきなり逮捕」あるいは「逮捕の模様を報道させる」といったケースが増えているように思えます。
2015年5月25日付 読売テレビ 壁紙など産廃 分別せず廃棄した疑いで逮捕(京都府)
家の壁紙などの産業廃棄物を一般廃棄物に混ぜて捨てたとして、京都の廃棄物運搬会社の経営者らが、逮捕された。廃棄物処理法違反の疑いで逮捕されたのは、廃棄物運搬会社「iWAiコーポレーション」の代表取締役ら3人。容疑者らは、先月中旬から今月中旬にかけ、2回にわたって、家の壁紙などの産業廃棄物を一般廃棄物に混ぜて、京都市が運営するゴミ処理場に捨てた疑い。容疑者らは、京都市内の内装業者から、紙くずなどと一緒に家の壁紙などの産業廃棄物も回収し、分別せずにそのままゴミ処理場に捨てていたという。調べに対し、容疑者(代表取締役)は、「私が一方的に指示してやらせていました」と容疑を認めているという。警察は、余罪があるとみて調べている。
※個人の氏名は省略、適宜筆者が発言者の主語を追記。
産業廃棄物を一般廃棄物に意図的に混ぜて、市町村の清掃工場に一般廃棄物として搬入することは、産業廃棄物の不法投棄以外の何者でもありませんが、リンク先のニュース動画のように、逮捕模様の公開をするほどまで悪質な違反だったかどうかは少々疑問です。
産業廃棄物処理業者が逮捕される原因としては、「行政による告発」と「同業他社による告発」の2種類がありますが、今回のケースはどちらでしょうか?
京都市の場合、「廃棄物処理法違反には厳正な行政処分を科す」という方針を明言していますので、
警察に告発をする前に、許可取消等を先に行いそうです。
いずれにせよ、法律違反の事実が報道された以上、行政としては行政処分を科さざるを得なくなります。
良い悪いという話ではなく、現実の問題として、
従来なら「このくらいの違反はどの会社でもやっている」という違反であっても、同業他社等からの告発(密告?)により、いきなり逮捕される時代となりました。
また、自治体がいきなり行政処分のルールを厳しくするケースも増えています。
一度厳しくなった行政処分のルールが緩くなることはほぼ有り得ませんし、「火のない所に煙は立たぬ」のたとえのとおり、法律違反をしないことが最も重要な対策です。
そのためには、法律の規定を正しく理解し、自社の運用状況に違反が無いかを常に確認し続けるしかありません。
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2015年5月26日 | コメント/トラックバック(2) | トラックバックURL |
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コメント
京都市で行政処分を12月受けた所だと思いますかが
中京区で解体工場しています。運搬の仕方しだいなのでしょうか?
ほこぢし 様 コメントいただき、ありがとうございました。
京都市の昨年の12月の行政処分は、委託基準違反に基づく許可取消で、別の会社のようです。
どのような運搬をしていたのかはわかりませんが、刑が確定した段階で、京都市が行政処分を行うのは不可避と思われます。