隠ぺい工作の終着点

当ブログ 2016年1月18日付記事「廃棄品が転売されやすい状況とは(ケース1 社長の意思が絶対的な会社)」では、廃棄物の横流しを行う企業社長の特徴として、「社長の意思が絶対的」の他、いくつかの点を挙げておりました。

その他、自爆テロにも等しい廃棄品の横流しを行った結果として、

一般的な感覚からすると、100万円の現金収入は非常に高額に見えますが、
この現金収入は表に出せない収入であるため、「会社の帳簿に記載しない収入として処理する」か、「社長が個人的に懐した」のいずれかになりそうです。

と推測しておりましたが、やはり事実はその推測どおりだったようです。

2016年1月27日付 日本経済新聞 「廃棄カツ売り上げ計上せず ダイコー、すべて現金取引

 壱番屋の冷凍カツが横流しされた事件で、産廃業者「ダイコー」(愛知県稲沢市)が、カツを購入した製麺業者「みのりフーズ」(岐阜県羽島市)への売却代金を、自社の売り上げには計上していなかったことが26日、ダイコー関係者への取材で分かった。ダイコーの会長が正規の取引でないことを認識していたため、計上しなかったとみられる。愛知、岐阜両県警の合同捜査本部は、流通ルートや取引実態の解明を進めている。

 関係者によると、ダイコー会長は、昨年10月に廃棄委託されたビーフカツ約4万枚(約5.6トン)のうち、5トン分を約80万円で、みのりフーズに売却したと、愛知県の調査に報告したという。すべて現金で取引し、領収書などは作成しなかったという。

 その上で、管理票(マニフェスト)に「すべて処分した」とうその記入をし、壱番屋に報告したとされる点についても、「事実と違うことを書いた。自分の判断だった」と認めているという。

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ビーフカツを購入したみのりフーズ側も領収書を要求していないため、ダイコーと同じく、正式な企業活動として会計帳簿に記載をしなかったものと考えられます。

これは国税庁の出番ですね(笑)。

やはり、オーナーの意向が強い処理業者の場合、処理状況確認の際には、オーナー(兼社長)の金銭感覚を見ておいた方が良いですね。

法律の遵守状況を〇×でチェックするだけでは、このような複数の当事者が共謀した違法行為の可能性を想像することすらできませんので、今後のリスク対策を考える上では、非常に重要な教訓となる事件です。

その他、記事の中で個人的に気になったのは、

 ダイコーは壱番屋製以外の食品も、みのりフーズに横流ししていたとされる。岐阜県によると、みのりフーズからは、壱番屋製以外の108品目の食品が発見。これまでに、うち25品目がダイコーが廃棄を委託されたものと判明した。

という点。

現時点でダイコーの関与が判明したのは108品のうち、25品。

残り83品もダイコーが転売した物なのか。

それとも、別の産業廃棄物処理業者が関与していたものなのか・・・

もしもダイコー以外の処理業者の関与があったのであれば、一処理業者の愚行というだけでは済まない大問題になる気がします。

もちろん、そうではないことを期待していますが。

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