「知らなかった」が通用しない失態

残念ながら、地方自治体が廃棄物処理法違反をすること自体は珍しくありませんが、今回ご紹介する事件はその中でも横綱級の不祥事です。

2017年6月8日付 西日本新聞 「みやま市がごみを不法投棄 法改正知らず、大牟田市に25年

 みやま市が廃棄物処理法の改正を知らずに約25年間、大牟田市の民有地にガラスくずなどの一般廃棄物を大量に不法投棄していたことが、7日分かった。みやま市は「大牟田市に大変な迷惑をかけた。直ちに撤去したい」としている。

 埋め立て現場は、同市上内の山間部。面積は約1500平方メートルで、ガラスくずなどの一般廃棄物約6300トンが埋められている。周辺には、みかん園や畜産場などがある。

 みやま市によると、瀬高、高田、山川の旧3町でつくる一部事務組合が84年から、同市内の業者に委託して、家庭から出た茶わんのかけらやコップ片など、リサイクルできないガラスくずの埋め立てを始めた。

 92年に廃棄物処理法が改正され、(1)他の市町村で一般廃棄物を処理する場合には自治体に事前通知する(2)1千平方メートル以上の一般廃棄物の埋め立て処分には自治体に設置許可を申請-が必要になった。しかし、みやま市環境衛生課によると、「旧3町の一部事務組合は法改正への認識が不足し、いずれも怠っていた」ため、ごみの投棄を継続。昨年11月、住民の通報を受けて調査していた大牟田市からの指摘で違法だと初めて知ったという。

 みやま市は、今年1月から現場周辺の地下水や埋め立て地のガス、悪臭などを調査したが、環境基準値内の数字だったという。

 同市は今年7月から2年間で、現場にある埋め立て物のうち、92年から昨年10月までに埋め立てたと推計される約5000トンを撤去する予定。撤去後2年間は周辺の地下水やガスなどの調査を継続する。

主に不燃物を埋立てていたようです。

「法改正への認識が不足し」とあり、25年前から廃棄物処理法改正に対応していなかったようですので、平成初期から現代にタイムスリップをしてきたとしか思えない素敵な状態です。

問題の本質は、「なぜ、かくも長く民有地に不法投棄を続けられたか?」です。

まさか、民有地に無料で廃棄物を不法投棄していたわけではないでしょうから、旧一部事務組合から廃棄物処分費を支払っていた相手が必ずいるはずです。

そうした無許可業者に一社独占で委託をし続けることを「随意契約」と呼びますが、数十年の間に、監査で一度もそれを指摘されなかったのでしょうか?

ここまで杜撰な廃棄物処理法違反は極めてまれですが、自治体の監査部門がしっかりと仕事をするだけで、行政による犯罪の大部分は防げることは間違いありません。

本来は、民間企業よりも、地方自治体の方が、ガバナンスが効きやすい組織なのですが、外部からチェックされにくい組織の場合は、気づいた時にはガバナンスが崩壊していることが多いものですね。

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