「水銀使用製品産業廃棄物」の詳細が確定

今年(2017年)10月1日から「水銀使用製品産業廃棄物」の規制が始まることだけは決まっていましたが、肝心の「水銀使用製品産業廃棄物」の定義が定まらなかったためヤキモキしておりましたが、6月下旬の法令改正説明会が目前となった現在、ようやくその詳細が公開されました。

2017年6月9日付 環境省発表 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の一部を改正する省令等の公布(水銀関係)について

施行規則改正の全容は、
【別紙1】廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の一部を改正する省令 [PDF 688 KB] に記載されていますが、全部で77Pもありますので、全文を読み通すのはなかなか大変かと思います。

また、「水銀使用製品産業廃棄物」の定義以外にも、「水銀の回収方法」や「水銀の検定方法」等、内容は広範かつ多岐に渡っておりますので、すべての人に関係がありそうな「水銀使用製品産業廃棄物」への規制内容のみを抜粋します。

「水銀使用製品産業廃棄物」の一覧

環境省が公開しているPDFは縦書きであり、それを横書きに修正するには多大な労力が必要となりますので、「別表第四」のキャプチャー画像を掲載します。



「水銀電池」から「酢酸フェニル水銀の製剤」まで、全部で37種類の製品が指定されています。

別表四には、「スイッチ及びリレー」や「蛍光ランプ」の他、下欄に×印が付いているものがありますが、
これは、施行規則第7条の2の4第二号の「前項に掲げる水銀使用製品を材料又は部品として用いて製造される水銀使用製品」から除外されるものです。

この説明では意味がわからないと思いますので、別表の備考の部分から、その具体例を想像してみました。

備考 一九の項に掲げる水銀使用製品(筆者注:「顔料」のこと)は、水銀使用製品に塗布されたものに限り×印に該当する。

ん~~

「水銀が含まれた顔料」を塗った水銀使用製品の場合は、顔料のみを削り取って処理するのではなく、全体で水銀使用製品産業廃棄物として処理しなければいけない、という意味でしょうか?

2017.6.25追記
環境省主催の説明会を傍聴し、上記の内容が少し理解できました。
「水銀含有顔料」の場合は、「顔料」の状態で廃棄物となれば、「水銀使用製品産業廃棄物」になりますが、
「水銀含有顔料を塗布したもの」は、「外形から水銀の有無を判別しがたいので、水銀使用製品産業廃棄物には該当しない」という整理になります。

排出事業者の実務で変更が生じる内容

注:施行は2017年10月1日から

  • まずは、「保管場所に掲げる掲示板」に、「保管する産業廃棄物の種類」として、「水銀使用製品産業廃棄物」と記載しなければなりません。
  • 既に対象をお示ししたとおり、蛍光ランプ、いわゆる「蛍光管」を保管する際には、「その他の物と混合するおそれのないように、仕切りを設ける等必要な措置」を講じなければなりません。
    具体的には、ドラム缶等の専用の保管容器を設置し、そこで蛍光管だけを保管するようにしないといけません。
    今までそのようなルールを設けていなかった組織においては、急に廃棄物の分別保管ルールを変えることになりますので、念入りに周知をしていく必要があります。
  • 委託物に「水銀使用製品産業廃棄物」が含まれる場合は、「委託契約書」にその旨を記載しなければなりません。
    ただし、「附則」中の「経過措置」によって、施行規則施行以前(すなわち、2017年9月30日以前)に締結した契約書については、次の「契約更新までは」追記や再作成をする必要はありません。もちろん、追記や再作成をしても結構です。
  • 委託物に「水銀使用製品産業廃棄物」が含まれる場合は、産業廃棄物管理票にその旨や数量を記載しなければなりません(「石綿含有産業廃棄物」と同様ですね)。電子マニフェストも同様です。

委託の際の現実的な課題

施行まで3ヶ月少ししかありませんが、それまでに、「水銀使用製品産業廃棄物」の取扱い許可を取得する産業廃棄物処理業者がどれだけあるのか?

というよりは、施行前に変更許可申請(取扱品目の追加)をしたところで、「水銀使用製品産業廃棄物」の許可を出してくれる自治体は皆無かもしれません。

新しく「水銀使用製品産業廃棄物」というカテゴリーができる以上、それを業者に回収してもらう場合、業者にはその取扱い許可があることが大前提となります。

「蛍光管の回収なら『ガラスくず』と『金属くず』の運搬許可で良い」というフレキシブルな経過措置は、今のところ定められていないようですので、2017年10月1日からは、排出事業者と産業廃棄物処理業者の取引が混乱しそうですね・・・

「石綿含有産業廃棄物」が平成18年に初めて登場した際には、環境省は「平成18年9月27日付環廃対第060927001号・環廃産第060927002号」通知で、

改正政令の施行の際現に石綿含有産業廃棄物を取扱っている者は、改正政令の施行をもって許可の変更を伴わない。

と、法的な根拠に基づかない行政判断を明確に打ち出しましたが、今回もそのような通知を出すのでしょうか?

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