不法投棄≠落とし物
恐怖、もとい京都新聞に、短文ながら味わい深い文章表現テクニックが駆使された記事を見つけました。
2017年10月27日付 京都新聞 「保津峡に大量の廃タイヤ散乱 京都、川下り名所」
京都市右京区から亀岡市に至る保津峡沿いの河川敷に、廃タイヤが数カ所にわたり計約40本散乱していたことが26日までに分かった。清掃活動をしていた保津川遊船企業組合の船頭が発見した。府道が近くにあり、同組合関係者は「悪質な不法投棄だ」と憤っている。
同組合によると、廃タイヤが見つかった場所は、保津峡付近の河川敷約10キロ間の4、5カ所。今月中旬、船頭8人が清掃していたところ、発見した。
同組合は、保津川の環境と景観保全のため年に数回、船で下りながら、川や河川敷のゴミを拾っている。今年7月に清掃した時にはなく、これまでも廃タイヤ数本が見つかったことはあるが、この量は初めてだという。豊田知八理事長は「世界から観光客が来る場所でこんな行為があり、非常に腹立たしい」と話し、不法投棄の可能性が高いとして府南丹土木事務所に相談した。
同事務所施設保全室は、保津川の不法投棄パトロールは行っていない。同室は「落とし物の可能性も考えられるため、府警に情報提供した」としている。
リンク先の京都新聞のサイトで不法投棄物の画像を確認していただけるとすぐわかりますが、誰が見ても「不法投棄されたタイヤ」に見えるシロモノです。
京都府の土木事務所職員が本気でタイヤを「落とし物」と信じていたとは思えませんが、「落とし物という可能性も無くはない」という官僚的な慎重発言をポロッとこぼした可能性はありそうです。
もしそうならば、新聞では、前後の発言の経緯を省略し、物議を醸しそうな発言だけを切り取ったのでしょうか?
※2017.11.13追記 読者の方から、現場は京都府の所管ではないかとのご指摘を受け調べたところ、京都府南丹土木事務所が河川管理者であることがわかりました。
下記の私の表現が一部間違えていることになりますが、該当部分の訂正をすると文意が大きく変わりますので、あえて訂正はせずに、京都府南丹土木事務所が河川管理者であることを改めて追記させていだきます。
河川管理者に関する間違いのご指摘を感謝いたします。
もっとも、タイヤが捨てられた場所が一級河川の河川敷ですので、京都府の土木事務所の管理権限が及ぶ場所ではありません。
そのため、京都府の職員からすると、「ウチの管轄する場所じゃないんだけどな」という思いしかなかったものと思われます。
京都府のどこに苦情(と言うよりは通報)を言うべきだったかはここで書きませんが(笑)、
通報は適切な部局に行わないと、結局二度手間となりますので、通報先の権限と責任をよく確認してから行いたいところです。
« 有価物は規制対象か否か(環境省Q&Aより抜粋) 水銀廃棄物の種類(環境省Q&Aより抜粋) »
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2017年11月10日 | コメント/トラックバック(2) | トラックバックURL |
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コメント
いつも拝見し勉強させてもらっています。
当記事で一点気になったのですが、一級河川であっても国管理と県管理の区間に分かれているので、この場合は県の土木事務所の管轄だったのではないでしょうか。
1年生 様 コメントいただき、ありがとうございました。
河川管理者に関するご指摘を受け京都府のHPを調べたところ、現場は京都府南丹土木事務所が管理している区間でした。
そのため、私の記事の表現が間違いで、「京都府南丹土木事務所にとって不法投棄は他人事ではない」ということになります。
誤りをご指摘いただき、誠にありがとうございました。