江戸の敵を長崎で討つ?

以前も当ブログで取り上げた話題ですが、
兵庫県三田市で、農業者による野焼きの是非に関し、三田市と兵庫県警三田署による喧々諤々の議論が続いているようです。

2018年4月21日付 毎日新聞 「野焼き 見解に深まる対立 廃棄物処理法、抵触か例外か 昨春、三田で発生の4件巡り/兵庫

 三田市で昨春、農家が稲わらなどを焼いて燃え広がり、消防が出動する騒ぎが相次いだ。このうちの4件を巡り、市と三田署が野焼きを禁じた廃棄物処理法に抵触するかどうかで見解が対立し、同法を所管する環境省が法の趣旨を示して話し合いでの解決を促す事態に発展した。だが、市と署の立場は平行線をたどり、論争に決着がつかないまま今年の作付けの季節を迎えた。

 4件は昨年3~5月にかけて発生。市内で農家や兼業農家が畑やあぜ、空き地で雑草、木の枝、枯れ草を刈り取り、その場で燃やした。燃え広がったので、うち3件は消防車が出動して消し止めた。

 野焼きは廃棄物処理法で原則として禁止されている。一方で、慣習などの「やむを得ない」場合か周囲の生活環境に与える影響が軽微な場合は、野焼きであっても取り締まりの対象とはならない。具体例も通知で例示されていて、どんど焼き(慣習)やたき火(軽微なもの)が該当する。農家が稲わらなどを焼くこともその一つだ。ただ、実際に例外とみなすかどうかは自治体が判断することになっている。

 このため署は、消防車が出動するなどの騒ぎになった昨春の4件について「たとえ営農目的でも、やむを得ない場合に当たらない廃棄物の焼却だ」と市に意見を求めた。野焼きとして取り締まりの対象になるという見解だった。これに対し、市は、4件とも例外に該当すると回答、「営農上やむを得ない」もので取り締まりの対象外だという判断だった。

なにゆえに三田署は農業者の野焼きを目の敵にしているのかといぶかしく思っておりましたが、今回の毎日新聞の報道により、その疑問が解消しました。

野焼きが延焼したことに怒ってるんですね。

その気持ちはよくわかる。

たしかに、農業者による野焼きだからといって、農地以外に延焼させてよいわけがありません。

しかしながら、延焼を罰したいがために、農業者による野焼きそのものを処罰するというのは、「江戸の敵を長崎で討つ」に似た筋違い、かつやりすぎの印象を受けました。

全国的には、三田市の廃棄物処理法解釈が一般的なものであり、一般的な理解を超えた法律解釈を警察に認めることが近代社会において望ましいとは決して思えません。

繰り返しますが、農業者だからといって、野放図に野焼きをすることが認められるとは思っていません。

隣接地に延焼させる等は、一番やってはいけないことです。

野焼きをするならば、安全に十分に配慮をし、周辺に住む方の迷惑にならない方法で行うのが当然です。

ただし、「迷惑にならない方法」の定義については、個人によって許容できる範囲や方法が異なりますので、すり合わせが難しいのも事実です。

しかし、農業者も住民も、その地域で共に生きていく以上、時間がかかろうとも、そのすり合わせをし続けるしかないのではないでしょうか。

そうしたプロセスを経ず、農業者を一方的に犯罪者に仕立て上げようとすることが、現代の警察のすべきことなのか?

不毛で非生産的な国会報道にかまけるのではなく、こうした権力のプチ横暴を批判することこそが、メディアの本分なのではないでしょうか?

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