マッチングの妙

2019年2月27日付 山陽新聞 「食品工場だしがらでウナギ養殖 津山、企業課題解決へ地域内循環

 めんつゆや焼き肉のたれを製造している食品工場は困っていた。毎日大量に出るかつお節や昆布などのだしがらの処分に。同じ市内にあるウナギの養殖場も悩みを抱えていた。使いやすい餌がもっと安く手に入らないか。業種の異なる二つの事業者の困りごとを結び付けたら、一つのアイデアが浮かんできた。だしがらを餌にしてみたらどうか―。津山市で今、食品残渣(ざんさ)を活用した地域循環の取り組みが進んでいる。

 連携したのは、アールビーシーコンサルタント(RBC、津山市高野山西)と、正田食品津山工場(同市下田邑)。

 RBCは2009年からウナギの「陸上養殖」を手掛けている。屋内に水槽を設け、土中の微生物を使った独自の水質浄化システムを用い、環境に配慮した手法で育て、「つやま青うなぎ」として出荷している。

 餌は魚粉を団子状にしたものだが、水に溶けると汚れにつながることから、与える量を少なめにしている。このため、ウナギが出荷できるまでには1年半と、通常の3倍ほどかかるのが大きな課題。魚粉の値段も高騰しがちで、餌の改善やコスト低減を模索していた。

 正田醤油(群馬県館林市)の関連会社の正田食品は、15年に津山工場を操業した。たれやめんつゆを1日200万食製造し、多い時には月16トンのだしがらが出る。買い取ってもらっていた業者が市場価格の低下などで昨年2月にやめたため、産業廃棄物として処分するしかなく、新たな活用法を探していた。

 相談を受けた津山商工会議所(津山市山下)と、地場企業の経営革新や3R(リユース、リデュース、リサイクル)の推進を支援している津山信用金庫(同)が協力。国の「ものづくり補助金」を活用して今回の取り組みが実現した。

 RBCは昨年11月、約300万円を投じて、餌を加工する設備を導入。正田食品から安価で仕入れただしがらを乾燥させて粉末にし、魚粉と混ぜてペレット状にする。近く本格的に導入する予定で現在、だしがらと魚粉の配合割合や水分量、練り具合を変えながら、ウナギの食いつきの良さや成育具合を調べている。

食欲が刺激されるタイトルです(笑)。

同じ津山市内で、「動植物性残さ(に該当しえる産業廃棄物由来原料)」を「うなぎ養殖用の飼料」として欲する企業があったことが幸運でしたが、偉いのは、その需給のマッチングを思いついた人です。

誰しも、自分の仕事領域と言う、ともすれば視野狭窄に陥りやすい傾向にありますが、
逆に、視野を広げ、最適の需給マッチングを探すという情熱を高く評価いたします。

金融機関の場合、産業廃棄物処理業者間の企業買収をあっせんすることならば、それほど珍しくはありませんが、
こうした廃棄物を資源として価値がある物に変えるマッチングを担う例は少ないのではないかと思われます。

同一市内での運搬であれば、遠隔地への運搬と比べると、運賃を安く抑えることができますので、コストとCO2削減にも役立ちます。

現状では、うなぎの成育を見ながらの実証実験段階のようですが、魚粉とだしがらの最適な混合比率が見つかれば、収益の改善が一気に進みそうですね。

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