「動物の死体」の野外焼却で書類送検
セミナー等で産業廃棄物の具体的な種類の説明をする際、
「動物の死体」は、畜産農業から発生した動物の死体に限定されるため、「一般企業の方にはほとんど関係ありません」と説明していますが、畜産農家が、産業廃棄物となる死んだ豚を野外焼却したために書類送検されたという報道がありました。
「牛さんや豚さんの死体が“産業”廃棄物になるなんて納得できないわ」と感じた方が多いかもしれませんが、ここでいう「産業」とは、工業的なイメージの「industry」というよりも、より広義の事業としての「business」という方が正確かと思います。
2019年4月17日付 NHK 「死んだブタ無許可焼却し書類送検」
ことし2月、愛知県の許可を得ずに、死んだブタ約15頭を燃やしたなどとして、愛西市の養豚場の経営者が書類送検されました。
警察によりますと、「豚コレラの可能性もあったが、獣医師に診せるのが面倒だった」などと供述しているということです。書類送検されたのは愛知県愛西市にある養豚場の60歳の経営者で、警察によりますと、ことし2月、死んだブタ約15頭を県の許可を得ずに燃やしたなどとして、廃棄物処理法違反などの疑いが持たれています。
当時、愛知県内の養豚場では、豚コレラへの感染が確認されるケースが相次ぎ、養豚業者は、ブタに異常が見られた場合は県に報告するよう求められていました。
今回、経営者が燃やしたブタは、その後の県の検査で、豚コレラには感染していなかったということです。
警察によりますと、経営者は「豚コレラの可能性もあったが、死んだブタを獣医師に診せるのが面倒で、費用を払うのも嫌だった。10年前から約1000頭を燃やしていた」と供述しているということです。
畜産農家になったつもりで考えてみると、
牛や豚の死体は、かなりの重量物となり、一度に大量に頓死した場合、処分のコストや手間が大変であることは容易に想像できます。
もちろん、大変だからといって、不法投棄や野外焼却が許容されるということは有り得ませんが、
零細事業者が大部分と思われる畜産農業の現状は、
費用負担を嫌がる人による不適正処理が起こりやすい構造にあるとも考えられます。
医療保険のように、一定額の保険料を関係者に負担してもらうと良いかと思いましたが、
そうなると、頻繁に頓死させる農家が得をし、逆に衛生管理をしっかりとしている農家が損をする仕組みになってしまいますので、およそ実現性がありません(苦笑)。
やはり、現状では、畜産農家のモラルに期待するとともに、今回のようなズルをする人には廃棄物処理法の重罰をもって処していくしかなさそうです。
養豚場における豚の平均死亡率は知りませんが、1年あたり100頭も頓死するものなのでしょうか?
廃棄物処理法違反とは無関係に、怖さを感じた部分でした。
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2019年4月18日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
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