どうなる?プラスチック規制

プラスチック製ストローの削減に象徴されるように、世界的な潮流として、プラスチックの使用削減に舵が切られつつあります。それを受け、日本でもいよいよ手近な「レジ袋有料化」を法令で義務付ける動きになるようです。

2019年9月26日 東京新聞 「プラごみ削減へ 政府案、来年4月施行 全ての小売店 レジ袋有料に

 政府がプラスチックごみを削減するため、スーパーやコンビニなど全業種の小売店でレジ袋の有料化を義務付ける方向で調整に入ったことが二十五日、分かった。経済産業省と環境省が二十六日に合同で開く審議会で政府案を示す。早ければ年内にも省令改正し、来年四月一日の施行を目指す。
 「容器包装リサイクル法」の省令を見直し、消費者のマイバッグ持参を促す。小売店以外のサービス業などでもプラスチック製の袋の有料化に対し協力を呼び掛ける。
 政府の骨子案では、有料化の対象とするレジ袋はプラスチック製で、購入した商品を持ち運ぶ手提げ型のものとする。魚や肉のパックを包む薄手のポリ袋は対象外とする。レジ袋の価格は小売店に任せ、売り上げの使い道は制限しない方針だ。有料化の先行事例などから、一枚数円程度になるとみられる。
 審議会では、微生物により分解される「生分解性プラスチック」製のレジ袋を有料化の対象とするかどうかや、小規模店舗への配慮などを議論する予定だ。
 政府による消費者への広報活動や小売店向けの説明会の実施も検討する。

小売店によっては既にレジ袋を有料化したところが多いため、有料化が法令で義務化されたとしても、国民生活に与える影響は少ないと思われます。

ただし、レジ袋有料化のそもそもの目的は、「プラスチックごみの削減」であるにもかかわらず、「微生物により分解される『生分解性プラスチック』製のレジ袋を有料化の対象とするかどうか(を議論する)」という、逆にプラスチックごみが増えかねない方策を取ろうとしている点が気がかりです。

「生分解性プラスチックは最終的には自然に分解されるので、道でポイ捨てしても良い」では本末転倒となるからです。

こうした危惧が現実に起こりえることを、イギリスの議会報告書で指摘されたそうです。

2019年9月13日 CNN 「生分解性プラスチック、海洋汚染を悪化させる恐れも 英議会報告書

プラスチックの代替として注目されている生分解性素材は、海洋汚染を悪化させ、環境に深刻な影響を及ぼす恐れがある。英議会の委員会が12日に発表した報告書でそう指摘した。

プラスチック汚染を巡っては、海洋や環境に及ぼす深刻な被害を食い止めるため、プラスチックの代替として生分解性素材に注目する企業や消費者が増えている。

しかし英議会の環境・食糧・農村地域委員会がまとめた報告書によれば、こうした代替プラスチックは汚染問題を解決するどころか、環境に破壊的影響をもたらす恐れがある。

実際に、こうした代替素材を使う消費者は使用や廃棄に対して無頓着になりがちで、汚染を悪化させる原因になりかねないと報告書は指摘。「『生分解性』の素材は自然界に捨てられる可能性が高くなり、陸と海の汚染を一層悪化させる」という環境保護団体グリーン・アライアンスの言葉を紹介した。

報告書によると、生分解性素材の廃棄については消費者の間に混乱があり、リサイクルやごみのポイ捨てにも悪影響を及ぼしかねない。

さらに、そうした代替素材が「二酸化炭素の排出量増大といった環境への影響について適切に考慮されないまま」使われている実態も紹介。海洋保護団体の発言を引用し、「もし生分解性カップが海に捨てられれば、普通のプラスチックカップと同じくらい、海洋生物に大きな問題を投げかける」と指摘した。

その上で、再利用と詰め替えが可能な容器について検討するよう英政府に提言、そもそもプラスチックの食品・飲料容器の削減に向けた取り組みが不十分だと苦言を呈した。

同委員会のニール・パリッシュ委員長は、「河川や海洋のプラスチック汚染が大きな問題であることは誰もが知っている。だがプラスチックを別の素材に入れ替えることは、必ずしも最善の解決策ではない。全ての素材は環境に影響を及ぼす」と強調。「生分解性プラスチックは適切なインフラや、廃棄方法に関する消費者の理解がないまま導入されている。基本的に、代替は解決にならない。我々は使い捨て容器を減らす手段を検討する必要がある」と訴えている。

「代替は解決にならない」というのは至言です。

最終的には分解されるにせよ、川や海は廃棄物処理工場ではありませんので、そのどこかに現在と同様に生分解性プラスチックが滞留し、それによって、動物や我々にこれまた現在と同様の悪影響を与えるであろうことは、想像に難くありません。

環境への負荷を減らすためには、

魔法のように便利な代替素材を探し求めるのではなく

「使い捨て容器を減らす」しかないのではないでしょうか。

そのためには、プラスチックの「製造コストの安さ」と「軽量で頑丈」という特質のいずれか、あるいは両方を手放すことになります。

個人的には、製造コストの問題よりも、「軽量かつ頑丈」という特質こそが、人間がプラスチックから離れられない原因ではないかと考えています。

たとえば、ペットボトルの製造を禁止し、飲み物の容器は缶とビンに限定したとすると、
「物流効率の大幅な悪化」と「保管スペースの増加」にすぐ直面することとなりますが、
多くの現代人にとって、そのような不便は許容しがたい状況となることでしょう。

「環境負荷の低減」というイシューのために、現在享受している利便性をどこまで手放せるか
という選択が、常に問われる時代となりました。

あなたはどう考えますか?

このエントリーを含むはてなブックマーク

タグ

トラックバック&コメント

この投稿のトラックバックURL:

コメントをどうぞ

このページの先頭へ