言い訳になっていない言い訳

最近、日本各地で建設会社による不法投棄が急増しているように思います。

今回ご紹介するニュースは、神社の敷地に堂々と不法投棄するという大胆不敵さでは群を抜いているものです。

2021年11月26日付 読売新聞 「出雲系神殿の敷地に大量の産廃「神様まつられている場所に…言語道断」

出雲大社(島根県)の大国主大神をまつる千葉市若葉区に建立された神殿の敷地内に、大量の産業廃棄物が埋められていることが千葉県警や市への取材でわかった。県警などは25日、現場を掘り起こして廃棄物を確認。神殿の建設工事の際に不法投棄されたとみて、廃棄物処理法違反容疑で捜査している。

現場は、宗教法人「出雲大社函館教会」から派生した団体「千葉総国講社」の敷地内。県警の捜査員や千葉市産業廃棄物指導課の担当者ら約20人が25日午前、ショベルカーを使って神殿周辺を掘り、産廃とみられる大量のコンクリート片や砕石などを確認した。

同講社によると、神殿の建設工事は同市中央区の建設会社「S建設」が請け負い、工期は2019年2月~同年10月。総工費は9500万円だった。

出雲大社函館教会千葉総国講社のHPによると、「函館教會」は「はこだてのおしえのにわ」と読むそうです。

なるほど
「きょうかい」よりも「おしえのにわ」という読みの方が趣深いと思いました。

9500万円を支払ったのに、敷地にコンクリートを不法投棄されたのであれば、「弱り目に祟り目」と言わざるを得ない苦境です。

常識ならば、建設会社自身が神社の敷地にコンクリート片を不法投棄するという事態は考えられないわけですが、当の建設会社は、その理由を次のように説明しています。

S建設の担当者は本紙の取材に対し、「あくまでも第2期工事に向けた地盤強化のためにコンクリート片などを埋めた」と話した。

建設会社が不法投棄を実行した場合によく使われる言い訳です(苦笑)。

もちろん、廃棄物処理法では、このような「地盤強化」手法は「不法投棄」となり、犯罪でしかありません。

読売新聞サイトの画像を見ると、ゴロゴロとしたコンクリートの塊が無造作に置かれているようにしか見えません。

一般的な地盤強化工事は、「セメント系固化材」を軟弱地盤の土と混合攪拌し、地盤強化するというものですので、「コンクリートを無造作に埋めるだけで地盤改良だ」という理屈は、「いつの時代の発想なんだ?」という話です。

しかるに、最近、と言うよりは昔からずっとなのかもしれませんが、
いまだにこうした「頭隠して尻隠さず」とも言うべき、言い訳にならない言い訳が乱用されています。

幸い、こうした犯罪に対し、行政はともかく、警察は非常に厳しい姿勢で臨んでいますので、摘発は氷山の一角ではあるものの、一罰百戒の効果を期待したいところです。

このエントリーを含むはてなブックマーク

タグ

トラックバック&コメント

この投稿のトラックバックURL:

コメントをどうぞ

このページの先頭へ