背水の陣

2022年2月20日 朝日新聞 「PCBの処理期限 国「再々延長ない」 北九州で市民説明会

 北九州市若松区で行われている有害物質ポリ塩化ビフェニール(PCB)無害化処理で、国が2021年度末までの作業期限の2年延長を求めていることを受け、有識者らの市PCB処理監視会議と市民説明会が18日、それぞれ開かれた。

 市は「再延長はしない」ことなどを条件に期限延長を14年に1度受け入れた経緯がある。

 市民から「2年の延長で処理が完了できなければ、再々延長するのではないか」などとする懸念が寄せられていたことについて、国はこの日オンラインで開かれた市民説明会で、「(処理施設に持ち込まれる)今後の見込み量は相当の余裕を加えて算定し、2年間で処理が可能な量であり、再々延長はない」などと明言した。

「二度あることは三度ある」と申しますが、PCB廃棄物の処理施設を撤去せざるを得ないという事情があるため、言葉どおりに再々延長はない、というよりは「できない」という方が正確かもしれません。

想像力がたくましいせいか、万が一、2024年以降に高濃度PCB廃棄物が新たに出現した場合はどうなるのか?とふと思いました。

「新たに未届けのトランスやコンデンサが急に出現するなんてあり得ない」と、常識的には思いますが、
世の中、あり得ないことが普通に起きることもあります。

たとえば、PCB特措法制定直前に廃業した工場があり、土地所有者その他の関係者が現在では生存していないような場合、外形的には「工場廃屋がある」ということは認識されていますが、土地所有者が不在であるため、誰もその廃屋内にここ20年間立入ったことが無いが、廃屋内にPCBが使用されたコンデンサが放置されていた、というケースです。

このようなイレギュラーな廃棄物が出現した場合、そもそもの管理責任者がこの世に存在しない以上、行政代執行するしかありません。

しかし、その時点では、肝心の高濃度PCB廃棄物の処理施設が日本に存在しないことになりますので、「処分も保管もできない」という哲学的とも言える隘路に追い込まれることになります。

PCB廃棄物の届出や登録は、人間が行う作業である以上、どこかに漏れや間違いがあってもおかしくありません。

現実には、こうした事態が発生しそうになると、それを隠蔽、あるいは不法に処理、または既存の類似処理技術の施設でやむなく処理と、いずれも危険な対策が採られるような気がします。

「そんな事態は絶対に起きない」として、受け皿を全部壊すことは、潔いかもしれませんが、「不測の事態発生への責任放棄」とも言えます。

あり得ない事態を想定しすぎの、想像力たくましいひねくれ者の杞憂とお笑いいただければ幸いです。

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