ジェヴォーダンの獣
← 「ジェヴォーダンの獣」というフランス映画をご存知でしょうか?
日本では2002年に公開されましたが、私は「レンタルビデオ店」でVHSテープをレンタルして見たと記憶しております。
フランス人学者とマーク・ダカスコス演じるネイティブアメリカンの二人が、人を襲う巨獣を仕留めるために、夜のフランスを駆け巡る、というアクション満載の胸熱ストーリーでしたが、映画だけの話かと思いきや、1760年代にフランスで実際にあった事件が元ネタになっているそうです。
Wikipediaでは、次のような記載があります。
ジェヴォーダンの獣(ジェヴォーダンのけもの、仏: La bête du Gévaudan)は、18世紀のフランス・ジェヴォーダン地方(現在はロゼール県の一部)に出現した、オオカミに似た生物。1764年から1767年にかけマルジュリド山地周辺に現れ、60人から100人の人間を襲った。獣が何であったかは、現在も議論されている。
20年ぶりに「ジェヴォーダンの獣」の記憶を蘇らせた理由は、次のニュースを見たためです。
2022年6月9日付 NHK 「国有林に100頭超のエゾシカの皮や骨 解体後に投棄か」
道東の厚岸町の国有林で、100頭を超えるエゾシカの死骸の一部が見つかりました。北海道森林管理局は現場の状況から別の場所で解体されたシカの死骸が数年にわたって不法に投棄されたとみて、警察などの関係機関に通報しました。
北海道森林管理局によりますと、先月16日、厚岸町の別寒辺牛川流域の国有林にエゾシカの皮や骨が放置されているのを調査を行っていた作業員が見つけました。
その後、森林管理局などが調べたところ、現場周辺であわせて100頭を超えるエゾシカの死骸の一部が見つかったということです。
100頭分以上の骨が散乱している状況は、ホラー映画の1シーンのようです。
人間による不法投棄ではなくて、謎の巨獣の仕業だったのかもと考える方が夢があるかもしれません。
いずれにせよ、不気味であることに違いはありませんが。
森林管理局は、放置されている死骸が大量で、解体されたあとがあったことから別の場所で解体され、数年にわたって不法に投棄されたとみて、警察などの関係機関に通報しました。
現場は牛を襲うヒグマが出没する地域と重なり、放置された死骸がヒグマを引きつけるおそれもあるということです。
エゾシカを狩る人間は、狩猟免許を所持したハンターしかありえませんが、ハンターの風上に置けない不心得者です。
ひょっとすると、ヒグマを誘引して人家に被害をもたらすために、わざと大量の死骸を捨てたのでしょうか!?
あな恐ろしや。
森林管理局は、現場周辺の監視を行うとともに、ことし10月からの狩猟期間、付近への立ち入りを禁止する措置をとることにしています。
エゾシカの死骸しか不法投棄されていないのであれば、不法投棄物から投棄者を特定することは非常に困難、というより不可能です。
現行犯逮捕するしかありませんが、投棄可能な場所が広大にあると思われますので、よほどの幸運に恵まれない限り、それは望めそうにありません。
産業廃棄物とは異なり、狩猟には、
「何頭仕留めて、すべてを現場で解体後に売却した」等と、行政に報告が必要なわけではないため、
獲物の処理については、ハンターの良識のみに依存しているのが現実です。
仮に、報告を義務付けたとしても、一つ一つの報告量が真正かどうかを行政が確かめることは無理ですので、やはり現実的な意味がありません。
大多数のハンターは、地域の獣害を低減させるために、安全にも配慮した狩猟活動を行っていることは疑いありませんが、他人の目が存在しない山中では、道徳やルールを無視する人間が必ず現れます。
一部の不心得者のために、全ハンターの自由を制限するきっかけとならないように、ハンター同士で監視をし合うことも必要になってきたのかもしれません。
相互監視というのは嫌な響きではありますが、ハンターの行動範囲をカバーできる人間はハンターしかいない、ということも事実ですので。
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2022年6月13日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
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