剪定枝(一般廃棄物)の不法投棄

2022年6月7日付 静岡放送 「沢を埋めるほど剪定で出た枝を不法投棄 造園業者社長3人逮捕(静岡県)

 沢は不法投棄された枝などで埋まっていたということです。樹木などの剪定で出た枝などを静岡県長泉町の山林に捨てた疑いで、警察は造園会社の社長や土地の所有者の男ら3人を逮捕しました。

(略)

 廃棄物処理法違反の疑いで逮捕されたのは、長泉町の造園会社の社長(53)、投棄場所の土地を所有する長泉町の無職で元警察官の男(74)ら3人です。3人は共謀して、5月30日、長泉町元長窪の山林に剪定した枝およそ170kgを不法投棄した疑いが持たれています。容疑者の一人がダンプカーで枝などを捨てるところを捜査員がみつけ、現行犯逮捕したということです。

不法投棄場所を提供していた74歳男性が「元警察官」と、前職が強調されているところが世知辛い。

退職してから10年以上経っている人ですから、元警察官と今さら強調する必要性は無いように思いましたが、「警察」と名が付けば何でも叩かないと気が済まない世論からすると、甘すぎる認識なのでしょうか?

とはいえ、やっていたことは、木くずが谷筋を埋め尽くすほどの相当悪質な不法投棄でした。

 今回の不法投棄は2021年7月3日の大雨がきっかけで発覚しました。長泉町内の山で土砂崩れが起き、町の職員がパトロールしたところ、木の枝などが大量に捨てられているのが見つかりました。不法投棄は2019年ごろから繰り返されていたとみられ、現場は捨てられた枝などで沢が埋まっていました。

(略)

 容疑者の造園会社が剪定した枝などを土地所有者の容疑者が通常よりも安い値段で捨てさせていたとみられ、警察は不法投棄のいきさつや余罪についても慎重に調べています。

「産業廃棄物の不法投棄」とか「産廃処理法」といった間違った日本語が使われていたらツッコんでやろうと思いましたが、想像以上にまともな報道だったので残念です(笑)。

この報道自体に「剪定枝=一般廃棄物」という表現はありませんが、
不法投棄があった静岡県長泉町で一般廃棄物処理を所管する「長泉町役場くらし環境課」の課長さんが、「すぐさま対応しなければならないと考えていた」とコメントしていますので、一般廃棄物の不法投棄として認識されていたものと推測します。

剪定枝は建設業者の一形態である「造園業者」が発生させたものだから、産業廃棄物の「木くず」じゃないのか!?
という疑問を持った方が多いかもしれませんが、
建設業者が発生させた廃棄物がすべて産業廃棄物になるわけではありません。

たとえば、建設会社の本社事務所で発生したミスコピー用紙は、「建設業に係るもの(工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたものに限る。)」に該当しませんので、産業廃棄物の紙くずではなく、一般廃棄物になります。

同じように、産業廃棄物の木くずについても、「建設業に係るもの(工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたものに限る。)」という限定がありますので、「工作物の新築、改築又は除去」を伴わない「剪定枝」は、一般廃棄物でしかありません。

今回のニュースとは関係の無い話になりますが、
「剪定枝」の「排出事業者が誰になるか」、または「排出事業者を誰にすべきか」は、実務的には大いなる難問と言えます。

法的な結論は一つしかありませんが、それを徹底してしまうと、世の中の剪定枝がまったく動かなくなる可能性がありますので、各自治体において、様々な解釈の工夫が凝らされているところとなります。

その詳細を公開すると、各地域でなんとか付けている折り合いに支障が生じるおそれがありますので、あえてここでは詳しく書かないことといたします。<(_ _)>

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