汚物は消毒?

鹿児島県阿久根市の知名度を一気に上げた元市長で現阿久根市議による、ガスバーナーで廃マットレスを焼却するという「北斗の拳」の世界観(「汚物は消毒だあ~!!」)を体現したような犯罪の裁判が始まったそうです。

2025年4月24日付 南日本新聞 「マットレスを空き地で燃やした元阿久根市長、改めて「違法性ない」 廃棄物処理法違反で起訴された竹原信一市議

 廃棄物を不法に焼却したとして、廃棄物処理法違反(焼却の禁止)の罪に問われた元阿久根市長(鹿児島県)で同市議の竹原信一被告(66)の公判が23日、鹿児島地裁川内支部(坂口和史裁判官)であった。検察側は冒頭陳述で「ガスバーナーなどを利用して着火した」と述べた。

 起訴状によると、竹原市議は2024年3月29日、法律で定められた除外理由がないのに、廃棄物のマットレスなど(焼却後重量計120キロ)を市内の空き地で燃やしたとされる。

 検察側は、親戚がごみ処理場に運搬しようとしていた不要品を竹原市議が引き受けたと説明。同日午前9時半ごろ、ガスバーナーなどを使って火を付けて焼却を始め、阿久根市役所から情報提供を受けた警察官が目撃した、と述べた。

ガスバーナーでマットレスを焼却という行動がまず不思議です。

紙くずならいざ知らず、ガスバーナーでマットレスを完全に燃やすことは物理的に困難だからです。

スプリングコイルが入っていない折りたためるマットレスであれば、燃焼促進剤を用いればなんとか燃やし尽くせるのかもしれませんが、スプリングコイルが入ったマットレスの場合は、燃やし尽くすことは不可能です。

「焼却後重量」が「120キロ」とのことですので、焼却で幾分かは減量化された状態で120キロですから、焼却前の重量はさらに重かったことになります。

そのため、マットレス以外にも、木製タンス等の大型家具を燃やしたのかもしれません。

行為者自身の認識では

 閉廷後、取材に応じた竹原市議は、法令で焼却を認めた「軽微なもの」に該当し、「違法性はない」と改めて示した。

とのことですが、「焼却重量120キログラムのどこが軽微なのだろうか?」という疑問しか浮かびません。

野外焼却の除外事由が論点として挙げられていますので、廃棄物処理法の該当条文を引用します。

廃棄物処理法第16条の2(焼却禁止)
 何人も、次に掲げる方法による場合を除き、廃棄物を焼却してはならない。
一 一般廃棄物処理基準、特別管理一般廃棄物処理基準、産業廃棄物処理基準又は特別管理産業廃棄物処理基準に従つて行う廃棄物の焼却
二 他の法令又はこれに基づく処分により行う廃棄物の焼却
三 公益上若しくは社会の慣習上やむを得ない廃棄物の焼却又は周辺地域の生活環境に与える影響が軽微である廃棄物の焼却として政令で定めるもの

周辺地域の生活環境に与える影響が軽微である廃棄物の焼却として政令で定めるもの」とは、下記の廃棄物処理法施行令第14条に限定列挙された5つとなります。

廃棄物処理法施行令第14条(焼却禁止の例外となる廃棄物の焼却)
 法第16条の2第三号の政令で定める廃棄物の焼却は、次のとおりとする。
一 国又は地方公共団体がその施設の管理を行うために必要な廃棄物の焼却
二 震災、風水害、火災、凍霜害その他の災害の予防、応急対策又は復旧のために必要な廃棄物の焼却
三 風俗慣習上又は宗教上の行事を行うために必要な廃棄物の焼却
四 農業、林業又は漁業を営むためにやむを得ないものとして行われる廃棄物の焼却
五 たき火その他日常生活を営む上で通常行われる廃棄物の焼却であつて軽微なもの

市議の主張は、「マットレスの焼却」は、廃棄物処理法施行令第14条第五号の「たき火その他日常生活を営む上で通常行われる廃棄物の焼却であつて軽微なもの」に該当するから廃棄物処理法違反ではない、というものですが

120キログラム以上の廃棄物をガスバーナーで燃やすと、すすや煙、そして悪臭が必ず発生しますので、「周辺地域の生活環境に与える影響が甚大」となります。

そのため、一般常識からすると、120キログラム超の廃棄物をガスバーナーで豪快に燃やす行為は、廃棄物処理法で禁じられた野外焼却以外の何者でもありません。

市議が野外焼却をした背景をさらに調べてみると、同じ南日本新聞の記事で、
2025年3月13日付 南日本新聞 「 「無罪を主張するため、自ら正式な裁判を求めた」…元阿久根市長の竹原信一市議、廃棄物処理法違反の罪で起訴 鹿児島地裁川内支部で初公判

 閉廷後、取材に応じた竹原市議は「無罪を主張するため、略式手続きではなく自ら正式な裁判を求めた。ごみを減量して処分場の負荷を減らすためで、普段から自宅の隣で燃やしていた」と話した。

日常的に野外焼却を行っていたことを自ら明かしています。

「処分場の負荷低減のために野外焼却をしていた」という動機は初めて聞きました。

元市長だけに、公共インフラへの熱い思いがほとばしったと言えなくもありませんが、
ゴミを焼却した場合、燃えがらが必ず発生するため、その燃えがらをどのように適正に処分していたのか?

公共インフラの維持を大切に思う方なので、きっと、市が設置する最終処分場に燃えがらを自ら運んでいたに違いありません。

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