廃棄物処理業界は特殊なのか?

先日、複数の処理企業経営者から、「廃棄物処理業は特殊な業界だから○○」という言葉を聞きました。

○○の部分は、「行政が業者に仕事を回すべき」とか「他業界は参入できない」と、それぞれ違う言葉が入るのですが、

厳しい言い方だと思いますが、いずれの言葉も、現状を直視していない結果の言葉だと思います。

私自身、廃棄物処理業の社会的意義や作業のしんどさをよく熟知しておりますが、
もはや「特殊な業界」ではないと断言せざるを得ません。

「特殊」という言葉に安住し、現実を直視しないというのは、甘えに他なりません。

自治体の財政は年々厳しくなっていますので、既得権益に固執する業団体に回す仕事は確実に減ります。

また、建設業やITベンチャー、輸出商社など、異業種から廃棄物処理業への進出ケースがここ数年激増しています。

繰り返しになりますが、特殊性という幻想に安住し、自己変革を怠っていると、
企業の存続自体ができなくなる時代なのです。

能書きはわかった。ではどうすれば良いのか?

その答えは、それぞれの企業がこれから真剣に追求してしていかねばなりませんが、

考え方の一つのヒントとしては、
廃棄物処理業界と異業種を比較して、
同じような事業(例えば廃棄物という物の運搬に限定して考えてみる)で異業種の方が競争優位性が高い
という面が見つかったら、その理由と仕組みを徹底的に研究し、見つかった答えを廃棄物処理企業の経営にすぐ取り入れることです。

別に、廃棄物処理企業が運送業を始める必要はないのです。

運送業の優位性、「安い運賃で運搬できる理由」「配車の効率化」などは、廃棄物処理企業にとって大いに助けとなるはずです。

このような研究と実践を積み重ねることで、
異業種のノウハウを取り込んだ「ハイブリッド処理企業」として、逆に異業種へも通用する組織を目指すべきではないでしょうか。

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コメント

  1. 矢板橋@ミダック より:

    >特殊性という幻想に安住し、自己変革を怠っていると、企業の存続自体ができなくなる時代なのです。

    ⇒尾上先生のおっしゃるとおりです。特に一廃収運専業の業者は未だ既得権益にすがっている状況で、家業のまま。それよりは比較的危機感を抱いている産廃収運専業の業者も、何から手をつければよいのか分からず、閉塞感が漂っています。
    中間処理業者に至っては、完全に二極化傾向にあり、家業から企業化に見事ステップアップされた業者もあれば、未だ70歳代の創業者が君臨し管轄行政の指導を回避するため、地方議員を使って役所へ圧力を掛けたりしてます。
    しかし、一番タチが悪いのは役所だったりします。産廃一筋20年なんていうベテラン職員が叩き上げで定年間近に課長となり、気弱そうな許可業者相手に法律とは関係ない指導で意地悪したり。県外搬入事前申請では、職員が排出事業者に対し、「うちの市へ持ち込まれるのは迷惑なんだよ」と公然と営業妨害をしたりします。
    何だか最後は愚痴になってしまいましたが、これからも尾上先生のブログ、楽しみに読ませていただきますね!

  2. 尾上雅典 より:

    矢板橋社長 コメントありがとうございました!
    社長のブログにも「家業から企業へ」と書かれていたので、同じテーマだなと思いつつ、今回の記事を書きました。

    矢板橋社長率いるミダックさんは、企業化に成功した好例ですが、企業化の必要すら感じていない家業レベルの業者さんが多いのが現実ですね。

    現状では、少し努力するだけで一気に家業レベルの業者に差をつけることが可能な一方、
    このままでは業界全体が地盤沈下するおそれもありますので、やはり現状を直視してほしいなあと思っています。

    行政の露骨な営業妨害に関しては、手に取るようにわかってしまいました。

    権力を持つ者は、権力を行使するがゆえに謙虚であらねばならないのですが、人格だけが肥大化する人が多いのも事実ですね。。。

    当方のブログでは、このようなリアルなドキュメンタリーのみならず、単なる愚痴でも大歓迎ですので、どうぞお気軽にコメントしてくださいませ。

    今後ともよろしくお願いします!


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