家具メーカーは業許可なしにソファーを有償回収できるか
某掲示板に、
新品のソファーを買ったので、古いソファーを家具メーカーに下取りしてもらえるかどうかを聞くと、「引取料を徴収します」と言われたが、家具メーカーは業許可なしにこのような有償回収ができるのか?
という質問が掲載されていました。
答えは簡単で
「(一般廃棄物収集運搬)業許可無しに引取料を徴収して廃棄品を回収すると、無許可営業に該当します」となります。
下取回収は「通知」という、法的な規定の裏付けのない単なる“解釈”での運用に過ぎないのですが、
その通知に基づく判断においても、上記の家具メーカーの有償回収行為を合法と認めることはできません。
下取回収に関する一番古い疑義解釈は、下記の昭和54年11月26日付通知になります。
昭和54年11月26日付環整128号、環産42号
問29 いわゆる下取り行為には収集運搬業の許可が必要か。
答 新しい製品を販売する際に商慣習として同種の製品で使用済みのものを無償で引き取り、収集運搬する下取り行為については、収集運搬業の許可は不要である。
販売者が回収物を持ち帰る間も、回収物は廃棄物でしかないのですが、
販売者の廃棄物を、販売者自身が持ち帰ることに該当するので、販売者には業許可不要と考えるのがこの疑義解釈の趣旨です。
そのため、家具メーカーが引取料を徴収している時点で、「無償で引き取り」という条件を満たさなくなり、
他者が発生させた廃棄物を処理を引き受ける行為として、廃棄物処理法の原則どおり、家具メーカーには業許可の取得が不可欠となります。
« 輸出契約の見本(昭和57年6月14日付環産21号より) 改善命令違反で逮捕(兵庫県高砂市) »
タグ
2014年3月13日 | コメント/トラックバック(4) | トラックバックURL |
カテゴリー:疑義解釈
トラックバック&コメント
トラックバック
コメント
家具の下取りの有料は違法と一般廃棄物処理を行う市町村では指導していますが、ほとんどの家具店が有料の下取りをホームページにまで明示しております。
一般廃棄物収集運搬の許可は出さない方針の市町村が多く、また、産業廃棄物収集運搬許可のトラックでも無料での下取しか許されないとの事です。家具を販売している者にとっては下取りはお客様の希望される大きなポイントになります。近くの大手家具店で有料で下取りをしているので、無料下取りをしたら多く集まりすぎて、市の焼却場ではソファ、ベッドマットレスは解体が必要と言われ、場所も人もいないので無理なので、産廃に出したらかなりの金額で処分することになり、やはり有料でなければ処分は無理な状態です。堂々と有料で処分料を明示していても、違法として取り締まらないのは何か別の方法があるのでしょうか?
コメントいただき、ありがとうございます。
取り締まらない理由は特に無いのではないかと思います。
市町村としては、告発をしたところで、行政の効率的な推進につながるわけでもないので、「指導」や「違反事実の収集」なんてやっていられないというところではないでしょうか。
実際のところ、その市町村内限定で販売をしている家具店はほとんど無いと思いますので、個別の市町村よりも、環境省が国全体の問題として、行為の是非をハッキリと社会に指し示す必要があると、いただいたコメントを読みながら思いました。
ご質問させてください。
家具の配送業者ですが、販売店の委託を受けて家具を配送し、不用品を引取(有料・・・販売店に対して請求)、当社にて廃棄に回しています。市の焼却場は持ち込み不可ですので、資源回収会社に持ち込んでいます。もうこの時点で違法と思われます。。。
では、正しくはどのように対応すればよろしいのでしょうか。
産業廃棄物収集運搬許可はあります。
引取をしないと配送もできないのが現実です。
何卒よろしくお願い申し上げます。
コメントいただき、ありがとうございました。
お考えのとおり、一般廃棄物を産業廃棄物処理業者に引き渡すことと、一般廃棄物収集運搬業の許可を持たない事業者が一般廃棄物を運ぶことの両方が法律違反となります。
販売店の指示内容や責任が重いと考えますので、無理に何でも無料で回収することは早晩辞めてもらう必要があります。
合法的に行うのであれば、古い家具は同じ日に地元の一般廃棄物収集運搬業者に回収してもらうしかなさそうですが、実際には難しい場合の方が多いかと思います。
引取料を徴収するのであれば、販売店から正規の一般廃棄物収集運搬業者に取り次ぎをするのが当然かとも思います。
配送という立場でお困りのことと思いますが、販売店の責任と購入者との話し合いで解決してもらうしかないかと思われます。