不法投棄を黙認した土地所有者への措置命令の可否(昭和57年6月14日付環産21号より)

(不法投棄の黙認)
問83 道路沿いの遊休低湿地の地主Aは、不法投棄が成されているにも拘らず地盤がかさ上げされるので、不法投棄を黙認している。こうした状況の結果、生活環境の保全上重大な支障が生ずれば、Aに対して法第19条の2(筆者注:現法では19条の5)を適用することができるか。
答 Aが自分の土地に廃棄物が搬入されるのを認めている場合、Aは埋立処分業を行っているとみなして、法第14条又は法第19条の2(筆者注:現法では19条の5)を適用できる場合がある。

※解説

本通知は、不法投棄をされた土地の所有者のすべてが措置命令の対象になると言っているわけではありません。

不法投棄が行われていることを知りながら、自分の土地の造成に役立つという理由で不法投棄を黙認している点をとらえ、不法投棄実行者としての帰責性を認める趣旨です。

実際には、不法投棄を黙認していることをどうやって立証するかが行政側の課題となりますが、外形的にそれを証明するのは非常に困難と言えます。

このエントリーを含むはてなブックマーク

タグ

トラックバック&コメント

この投稿のトラックバックURL:

トラックバック

コメント

  1. 環境部 ヨッシー より:

    不法投棄について思うことがあるので、投稿させて頂きます。
    未必の不法投棄
    一般家庭からの廃棄物の収集運搬及び処分は、市町村に処理責任があると法律になっていますが、行政が回収しない廃棄物が沢山あります。そのため、そのような廃棄物を処理して欲しいと個人のお宅から要請があります。しかし、産廃の許可しか取得していない業者は一般の家庭から廃棄されるゴミの処理は出来ません。そのため、一般家庭から連絡を頂いても断っているのが現状です。このことは未必の不法投棄を容認しているように感じます。
    一般家庭で処理に困り、行政に連絡し断られ、業者に連絡しても断られ、最後の手段は不法投棄になってしまいます。
    産廃関連の著名な先生に相談をしても、何度も行政に相談するようにと指導されます。相談しても回答が返ってくれば問題は無いですが、ただただ、先延ばしをしているだけです。
    ある指導課からは回収できる荷姿にすれば良いのではとの回答を頂きました。しかし、荷姿を変えることはリスクが生じます。事故等があった場合誰が責任を負うのでしょうか?
    要するに行政の担当者はただ、法律から逸脱しないように指導するだけです。

    廃棄物の原点に返って、適正に処理することを優先に考えていくことが、大切だと考えますが、如何でしょうか?
    そして、このことを廃棄物の担当者が真摯に受け止めて頂ければ、一般家庭からの不法投棄は無くなって行くと思います。
                                   環境部 ヨッシー

  2. 尾上雅典 より:

    ヨッシー様 コメントいただき、ありがとうございました。

    一つの解決策としては、
    市町村に相談を一度は持ちかけ、そこで断られた内容を議事録として残しておき、しかるべき方法で処理を適切に行う
    のが良いかと思っております。

    ただし、処理業者の立場としては、そのようなリスクを積極的に負うのは危険が大きすぎますので、
    処理業者の場合は、まずは市町村を納得させるしかないようにも思います。

    よろしくお願いします。


コメントをどうぞ

このページの先頭へ