処理業者が倒産した際の排出事業者責任追及例
委託先処理業者が不意に倒産したことで、そこに委託をした排出事業者に対し、残った未処理産業廃棄物の撤去が求められるという事例が出ました。
大阪府 廃棄物の処理及び清掃に関する法律第12条の6第2項に係る勧告に従わない者の公表について
リンク先を見ていただくとわかりますが、排出事業者が個人であっても、実名で公表されています。
行政の手腕的には、「この手があったか」とうなる、(まわりくどいですが)堅実な手法です(笑)。
未処理産業廃棄物を大量に留置して倒産した場合は、不適正処理という意味では不法投棄と同視できるので、排出事業者に最初から措置命令をかけることも可能です。
しかし、大阪府はそれをせずに、マニフェストという動かぬ証拠から入り、がんじがらめで逃げ場を無くした状態で責任追及をしたと言えるでしょう。
ただし、この手法を取る場合、「マニフェストの返送がない」→「必要な措置を講じるよう勧告」→「勧告に従わない者の公表」→「勧告に係る措置の命令」という段取りを必ず踏む必要があるため、非常に時間がかかるのが通例です。
前述した、いきなり措置命令をかける場合は、「報告徴収」→「措置命令」とわずか2ステップで済みますので、迅速性ではそちらの方が勝ります。
しかしながら、今回の大阪府のアクションの場合は、
2010年12月7日付で委託した産業廃棄物に関し、2011年2月22日には勧告に従わないとして公表していますので、異常に早いと言えます。
ひょっとすると、2010年の12月中に処理業者が倒産したため、「それ以降マニフェストが返送される可能性なし」として、通常のマニフェストの返送猶予期間(90日)満了を待たずに、2011年1月中にでも勧告をしたのかもしれません。
第12条の6に基づき、マニフェスト関連で勧告という行政手法は、これまであまり見かけたことがありませんでした。
法的には可能だが、最低でもマニフェスト交付後90日間は勧告ができないからです。
しかし、不法投棄とは違い、処理業者の倒産の場合は、交付後90日以降という日付に束縛されることなく、早期に勧告が出せるという解釈が成り立ちます。
今後、処理業者の倒産はますます増えると思いますので、
排出事業者としては、現地確認を徹底して倒産リスクの高い処理業者との取引を忌避するか、行政の勧告に迅速に従う=撤去費用の負担
という二者択一の行動を取る必要がありそうです。
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2011年2月28日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
カテゴリー:排出事業者の責任 産業廃棄物管理票(マニフェスト)