罰則から見る委託基準の詳細Vol.3(一般廃棄物の委託基準)

罰則から見る委託基準の詳細Vol.1
罰則から見る委託基準の詳細Vol.2 の続きとなります。

今回は、法第26条の委託基準違反に関する罰則についてです。

第26条  次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

一 第6条の2第7項第7条第14項第12条第6項第12条の2第6項第14条第16項又は第14条の4第16項の規定に違反して、一般廃棄物又は産業廃棄物の処理を他人に委託した者
二~六 (略)

上の条文で、赤字で書いた条文は「委託基準に適合しない狭義の委託基準違反」、青字で書いた条文は「廃棄物処理業者のみに適用される再委託」に対する罰則となります。

今回は、第6条の2第7項の一般廃棄物の委託基準の詳細を解説します。

廃棄物処理法第6条の2

6 事業者は、一般廃棄物処理計画に従つてその一般廃棄物の運搬又は処分を他人に委託する場合その他その一般廃棄物の運搬又は処分を他人に委託する場合には、その運搬については第七条第十二項に規定する一般廃棄物収集運搬業者その他環境省令で定める者に、その処分については同項に規定する一般廃棄物処分業者その他環境省令で定める者にそれぞれ委託しなければならない。
7 事業者は、前項の規定によりその一般廃棄物の運搬又は処分を委託する場合には、政令で定める基準に従わなければならない。

このうち、法第6条の2第6項の部分については、無許可業者等へ委託をしてはならないという規定で、「罰則から見る委託基準の詳細Vol.2」で解説したとおりです。

法第6条の2第7項の具体的な基準は、廃棄物処理法施行令第4条の4に書かれています。

(事業者の一般廃棄物の運搬、処分等の委託の基準)
廃棄物処理法施行令第4条の4

 法第6条の2第7項の政令で定める基準は、次のとおりとする。

一 他人の一般廃棄物の運搬又は処分若しくは再生を業として行うことができる者であつて、委託しようとする一般廃棄物の運搬又は処分若しくは再生がその事業の範囲に含まれるものに委託すること。
二 特別管理一般廃棄物の運搬又は処分若しくは再生にあつては、その運搬又は処分若しくは再生を委託しようとする者に対し、あらかじめ、当該委託しようとする特別管理一般廃棄物の種類、数量、性状その他の環境省令で定める事項を文書で通知すること。

一の「他人の一般廃棄物の運搬又は処分・・・を業として行うことができる者・・・に委託すること」という部分は、先に書いた「法第6条の2第6項」で既に禁止されていることですので、「法第6条の2第7項」に関連する「施行令第4条の4」に改めて書く必要は無さそうですが、重複をさせてでも、一般廃棄物の委託基準として明記したということになりましょうか。

二の「事前の書面による通知」で伝えるべき内容としては、廃棄物処理法施行規則第1条の19で下記のように規定されています。

(特別管理一般廃棄物の処理の委託に係る通知事項)
第1条の19 令第4条の4第二号の環境省令で定める事項は、次のとおりとする。
 一 委託しようとする特別管理一般廃棄物の種類、数量、性状及び荷姿
 二 当該特別管理一般廃棄物を取り扱う際に注意すべき事項

これは特別管理一般廃棄物のみに関係する規制なので、一般廃棄物の処理委託をする際には無関係となります。

日常的に特別管理一般廃棄物が出そうな事業所としては、感染性廃棄物が発生する医療機関等が挙げられます。

特別管理産業廃棄物についても、同様の情報提供義務が定められているため、ご存知の方も多いと思います。

さて、ここで問題となるのが、「あらかじめ」という用語の位置づけです。

「契約の際」に、特別管理一般廃棄物の性状や数量等について情報提供しておけば、「あらかじめ」通知したことになるのかどうかという問題です。

「性状」に関しては、ほぼ一定した状態に収めることも可能なので、契約時に情報提供することも可能かもしれませんが、
「数量」に関しては、やはりある程度変動することが予想されますので、「取引(=処理委託)」のたびに、書面で情報提供せざるを得ないと考えられます。

また、そもそも一般廃棄物については、書面による委託契約書の作成・保存が義務付けられていませんので、契約書の作成自体が行われないケースもあるかもしれません。

以上のように考えると、契約時ではなく、取引のたびに書面で情報提供する必要がある、と考えるのが妥当と思われます。

もし、その情報提供を怠ると、廃棄物処理法第26条の刑事罰の対象になるかもしれない
ということが、本日お伝えしたい豆知識でした。

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