委託料金の記載が「都度見積」は合法か?

産業廃棄物処理委託契約書の法定記載事項の概要は下記のとおりですが、
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その法定記載事項の一つである、「委託者が受託者に支払う料金」に「都度見積」という記載をしている契約書がよく見受けられます。

見積とは「製品の購入やサービスに掛かる費用を前もって算出する行為」ですので、産業廃棄物処理委託契約の場合、委託者が見積をすることはありません。

そのため、「都度見積」という表現は、処理業者側の都合に基づく記載であり、
このような記載のある契約書は、100%処理業者側が準備したものと考えられます。

このように、「都度見積」とは、取引ごとに処理業者側が委託者(排出事業者)に一方的に料金の概算を送り付けるという意味であり、
契約書にこのような表現がなされているということは、「契約段階では委託料金について合意できていない」という証拠にもなります。

委託料金について合意できていない契約書では、法定記載事項を書いていないことになりますので、委託基準違反となります。

多くの人がしている誤解

委託基準に関してもう一つ重要なポイントを指摘しておきます。

それは、
委託基準の対象は委託者(排出事業者)だけですので、「都度見積」という内容の契約書で困ることになるのは、法的には委託者(排出事業者)のみということです。

行政・排出事業者・処理業者のすべての関係者に言えることですが、ここを誤解している人が本当に多く、
「契約書に間違いがあると処理業者側の違反にもなるので、変な契約書は持ってこないだろ~」と、契約書の作成を処理業者に完全に丸投げしている委託者が大半だと思います。

「契約書の不備で困るのは自分だけなのに、よく取引の相手方に契約書の作成まで任せられるなあ」と、契約のチェックをするたびにいつも感心しています。(^_^;)

ただ、現実問題としては、収集運搬委託契約を例とすると、
当初の契約時に、将来の運賃変動をすべて想定した内容で料金を記載するのが困難という事情があります。

だから都度見積と書くしかない?

いえいえ 工夫することを簡単に諦めてしまわないでください(笑)。

将来の料金変動を想定した契約書の書き方については、次回の記事で解説します。

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