行政処分の対象

廃棄物処理事業を強制的に辞めさせられる「許可取消」の怖さについては、改めて解説する必要は無さそうですので、まずは「事業の停止命令」の対象について解説します。

「事業の停止命令」という行政処分の対象になるのは、下記の4要件のいずれかに該当した場合です。

廃棄物処理業者が
1. 廃棄物処理法または廃棄物処理法に基づく処分に違反する行為をしたとき
2. 他人に対して違反行為をすることを要求し、依頼し、もしくは唆し、もしくは他人が違反行為をすることを助けたとき
3. 処理業者の事業の用に供する施設または処理業者の能力が許可基準に適合しなくなったとき。
4. 許可に付された条件に違反したとき。

この4点の中で注意が必要なのは、「1」の廃棄物処理法違反行為と、「4」の許可条件の違反。

経営者層は法律をしっかり守って操業しているつもりであっても、現場の従業員が一人でも間違った操業をしてしまった場合、すぐに「事業停止命令」の対象になりえる違反が発生するからです。

特に、マニフェストの授受や処理終了年月日の記載については、最前線の従業員に一任されていることがほとんどですので、従業員に悪意なく法律違反をさせないためにも、日々の操業に法律違反が無いかを常にチェックしておきたいところです。

また、「許可条件の違反」とは、
例えば、汚泥の中間処理許可を受けているが、どんな汚泥でも処理できるという許可ではなく、「汚泥(無機性のものに限る)」という許可しか持たない処理業者が、有機性汚泥を中間処理した場合、許可条件に違反した処理を行ったことになります。

具体的な個々の法律違反に対する事業停止命令期間の目安は、平成23年3月15日付環廃産発第110310002号「廃棄物の処理及び清掃に関する法律第14条の3等に係る法定受託事務に関する処理基準について」で示されています。
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※野外焼却や不法投棄などは、事業停止命令ではなく「許可取消」の対象と示されています。

一読するとわかるとおり、マニフェストに関する違反はすべて事業停止命令の対象になっていますので、マニフェストの運用でミスを起こさないことが廃棄物処理企業にとって根本的に重要なことです。

なお、廃棄物処理基準違反の操業をした場合でも、即事業停止命令の対象になるわけではありません。その場合は、「改善命令」や「措置命令」の対象になります。
その命令にも違反をした場合は、事業停止命令ではなく「許可取消が相当」と、先述した通知には示されています。

また、同通知には、「事案に応じ、本基準以上に厳格な処分を行うことは、本基準の趣旨に反するものではない」とも記載されていますので、行政は同通知の内容に拘束されるわけではなく、より長い期間の停止処分を下すことがあり得ることにも注意が必要です。

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