委託料金を変動させる理由

産業廃棄物処理委託契約書の法定記載事項として、「委託料金」があることをご存知の方は多いと思います。

しかしながら、非常に多くの排出企業においては、この委託料金の記載をせずに、委託契約書を作成保存しているのが実情です。

一般的に、企業間の取引において、金額に関する事前合意を経ずに取引に至ることはほとんどありませんが、産業廃棄物処理委託に際しては、なぜか事前合意を重視しない企業が多いようです。

もちろん、法定記載事項である以上、委託料金を記載しない契約書を取り交わすと、排出事業者のみが委託基準違反となり、刑事罰の対象にもなります。

「排出事業者のみ罰則」というのは、委託基準であるため、受託者である産業廃棄物処理業者には委託契約書の作成保存が義務付けられていないからです。

もっとも、産業廃棄物処理業者には契約書保存の義務は無いといっても、普通のビジネス感覚では契約書を作成して保存をするのが当たり前ですので、契約書を一切保存していない産業廃棄物処理業者がいた場合は、契約書を保存していないという一点だけで、信頼性(というよりはビジネス常識)に欠けると見る必要がありますが。

さて、表題に掲げた「委託料金を変動させる理由」についてですが、この理由は企業によってそれこそ千差万別です。

正確には、受託者である「産業廃棄物処理業者の都合」というのが、大部分かと思われます。

その中でも一番多いのが、「受注余力の調整のため」ではないでしょうか。

旅客業の料金設定方法の例を引くまでもなく、受注側の繁忙期には料金が高くなり、逆に閑散期には料金が安くなるのが一般的です。

規模が大きい処理業者ほど、顧客も多数になるため、同規模、同業種の排出事業者の産業廃棄物が集中する傾向にあります。

特に上場企業の場合は、決算期の期末が3月に集中する傾向にあるため、2月から3月にかけて産業廃棄物の委託量が急増するケースがよくあります。

そうなると、いくら規模が大きい処理業者であっても、無限に産業廃棄物の保管スペースがあるわけではありませんので、受注量を制限(=処理料金の値上げ)せざるを得ないことになります。

こうした状況に対応するために、委託料金に幅を持たせる必要性が生じています。

その次に多いのが、「産業廃棄物の性状が一定しないために、実質上の都度見積もりをせざるを得ない」という事情です。

製造工場から発生する汚泥等のごく一部の産業廃棄物を除き、産業廃棄物の性状が常に一定であることはまれです。

例えば、建設廃棄物の場合は、新築工事と解体工事によって、発生量や含まれる産業廃棄物の種類が全く異なります。

そのため、契約の段階で処理単価を完全に明示することが困難と考える産業廃棄物処理企業が多いのもやむを得ない面があります。

特に、廃棄する試薬が大量に発生する業種においては、試薬の種類によって処理単価が変わることもよくありますので、委託側と受託側の双方で委託料金の記載方法に苦慮していることと思います。

その他の理由も多々あると思いますが、主だった理由としては、上記の2つになりましょうか。

「他にもこんな理由や事情があるよ」という方は、コメントやメールで教えていただけると嬉しいです。

次回は、この状況を前提として、契約書の法定記載事項である委託料金の具体的な書き方について考察を深めたいと考えています。

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