行政指導は行政処分ではない

EICネットの掲示板に、「ある業者の行政処分履歴を調べるには、行政にどう聞けば良いか?」という質問が掲示されていました。

しかしながら、質問の内容をよく読むと、質問者が本当に知りたいのは、
「許可取消」や「事業の全部停止処分」、「改善命令」といった「行政処分」の履歴ではなく、
「立入検査」や「行政指導」といった「行政指導履歴」というのが真意のようでした。

どうやら、質問をした方は、「行政処分」と「行政指導」を同列のものとして混同しているようです。

結論から先に書くと、個別の業者の行政指導履歴については、行政自体がリアルタイムで実数を把握していません。

すべての業者に対する行政指導履歴をデータベース化している行政は皆無と思われます。

ここでいう行政指導履歴とは、
「行政指導を行った日時」や「行政指導の内容」、「指導後の改善結果確認の要否」等の、個々の業者への対応内容のデータを指します。

「保管基準違反」や「不適正処理」等の、行政として迅速に対応する必要がある事案については、
その組織内で繰り返し指導履歴が参照されることになりますので、自然とそうしたデータが関係者内で情報共有されることになりますが、
行政指導は、そのように顕著な法律違反のみならず、日常的な行政活動においても行われるものですので、
すべての業者に対する行政指導履歴を把握するのは現実的に無理ですし、そもそも把握する必要もありません。

手続き的には、処理業者名を明示すれば、その業者への行政指導件数等を情報公開請求することも可能ですが、
前述したように、行政指導は違法ではない状況下でも使用されるものですので、その件数だけを知ったところで、あまり意味がありません。

なお、国民全体の最大限の利益のために補足しておきますが、
無意味な目的、かつ内容で情報公開請求をされると、行政サイドはそれに対応するために多大な労力を割かねばならなくなります。

そのような誰のためにもならない情報公開請求は、「テロリズム」にも等しい不毛な行為と言わざるを得ません。

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