運搬車両における許可証写しの電子保存の可否

講演をする際には、参加者から講演終了後に質問をお受けするのが通例となっております。

たいていのご質問であれば、その場ですぐにお答えをさせていただいておりますが、
先月行った研修会でいただいた質問は、廃棄物処理法以外にも関係する内容であったため、講演終了後に念のため条文を確認した上でお答えさせていただきました。

そのご質問が、今回の表題の「運搬車両における許可証写しの電子保存の可否」です。

運搬車両が5台程度であれば、許可証写しのコピーを配付することも簡単ですが、それが50台とか100台になり、運搬エリアが複数の自治体にまで及ぶようになると、最新の各自治体の許可証写しがすべての車両に備え置かれているかを管理するだけでも大変な手間となります。

質問をされた方が所属する企業はかなり先進的な企業で、運搬車両すべてにタブレット端末を常備しているとのこと。

こうした環境下であれば、許可証写しの紙コピーを配付するよりも、ネット上で許可証情報のすべてを網羅し、運搬車両のタブレットから必要な情報を取り出す方が間違いがありません。

さて、問題は、「許可証写しの電子保存が認められるかどうか」ですが、結論を先に書くと「認められる」となります。

運搬車両台数が多い処理企業の方が、この電子保存のメリットが大きくなることはご理解いただけたと思いますので、まとめとしてその法的根拠を示しておきます。

「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」及び「環境省の所管する法令に係る民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律施行規則第3条及び別表1」に基づき、

・一般廃棄物処理業者の帳簿
・産業廃棄物処理業者の帳簿
・産業廃棄物処理施設の設置事業者の帳簿
・特別管理産業廃棄物排出事業者の帳簿
・情報処理センターの帳簿
・一般廃棄物を船舶で運搬する際に備え付ける書類
産業廃棄物を船舶または車両で運搬する際に備え付ける書類
・産業廃棄物処理委託契約書とその添付書類(許可証の写しなど)
・産業廃棄物の再委託承諾書、再受託者に渡す文書
・処理困難通知の写し

の電子保存が認められています。

運搬車両に備え置く許可証写しは、上記の「産業廃棄物を船舶または車両で運搬する際に備え付ける書類」の中に含まれます。

当ブログ 2011年1月25日付記事 「e-文書法と産業廃棄物処理委託契約書の関係」で、電子保存対象書類について簡潔に解説しておりますので、是非そちらもご参照ください。

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