産業廃棄物収集運搬車両に携行すべき書類を即答できますか?
産業廃棄物収集運搬車両に必ず携行していなければならない書類は2つありますが、その2つを即答できる方はどれくらいいるでしょうか?
それは「産業廃棄物管理票(マニフェスト)」と「許可証の写し」です。
「マニフェスト」については、よほど不勉強な処理業者でない限り、もはや常識と言って良い標準携行書類だと思いますが、
「許可証の写し」は意外と忘れられたり、携行漏れが起きやすい書類であろうと思われます。
6月は「環境月間」ですので、各地の幹線道路で道路検問が行われる機会が増えています。
2024年6月11日付 NHK 「産業廃棄物不法投棄防ごうとトラックの抜き打ち検査 県内国道」
県によりますと今回3か所で、合わせて42台のトラックを検査し、産業廃棄物を運搬していた5台で、許可証の写しを携帯していないことなどがわかり指導しました。
調べた42台のトラックのうち、5台で許可証の写しを携帯していなかったとのことですので、調査対象の約1割で違反があったということになります。
許可証の写しはなぜ忘れられやすいか?
その理由は複数あると思いますが、本業である建設業の一環で産業廃棄物の収集運搬を行っている「兼業収集運搬業者」の場合、運搬車両に「許可証の写し」を備え置く必要性を感じないことが主因ではないかと考えられます。
世の中の産業廃棄物収集運搬業者の大部分は、こうした「兼業収集運搬業者」ですので、うっかりと、あるいは最初からトラックやダンプに「許可証の写し」の備え置きを忘れてしまうことが多いのかもしれません。
また、運用する車両が数台程度であれば大した手間にはなりませんが、数十台、あるいは百台規模で常時運搬車両を運用し続ける規模の会社になると、「最新の許可証の写し」をアップデートし続けることは並大抵の手間ではありません。
その結果、たまたま検問される場所(積み込み地か荷下ろし地の都道府県)の許可証の写しの差し替えが間に合わず、許可期限が切れた古い許可証の写しのままであったことが発覚し、指導の対象となるケースもあることでしょう。
根性で管理するしかないのか?
人手不足の中、運行管理責任者等に「トラック100台全部の許可証の写しに間違いが無いかを毎日始業前に確認しておけ!」という指示をすれば解決する問題ではありません。
現代は、担当者個人にいたずらに苦役を科すかのような一方的指図は、社会的にも、雇用環境的にも許されない時代です。
では、どうやって解決すれば良いのか?
幸いにも、運搬車両に携行すべき「許可証の写し」は、「紙という現物での保存」のみならず、「電子保存」が認められています。
※「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」及び「環境省の所管する法令に係る民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律施行規則第3条及び別表1」で電子保存が認められている書面
・一般廃棄物処理業者の帳簿
・産業廃棄物処理業者の帳簿
・産業廃棄物処理施設の設置事業者の帳簿
・特別管理産業廃棄物排出事業者の帳簿
・情報処理センターの帳簿
・一般廃棄物を船舶で運搬する際に備え付ける書類
・産業廃棄物を船舶または車両で運搬する際に備え付ける書類
・産業廃棄物処理委託契約書とその添付書類(許可証の写しなど)
・産業廃棄物の再委託承諾書、再受託者に渡す文書
・処理困難通知の写し
「運搬車両に備え置く許可証の写し」は、上記の「産業廃棄物を船舶または車両で運搬する際に備え付ける書類」の中に含まれます。
そのため、運転手が所持するスマートフォンやタブレット上で、「許可証の写し」が表示できるようにしておけば、車両一台ごとに「全許可証の写し」をアップデートし続ける手間から解放されます。
これこそ本当のDXです(笑)。
また、排出事業者から紙マニフェストを交付された場合は、運搬車両に紙マニフェストを携行するしかありませんが、
電子マニフェストで運用する場合は、「運搬する産業廃棄物の種類その他の情報」「電子情報処理組織の使用を証する書面」を電子情報で表示することが認められていますので、「許可証の写し」と合わせて、すべての携行書類を電子表示することが可能です。
運転手が所持するスマートフォンは、別に会社が支給したものである必要はなく、運転手の私物でも構いません。
自社サイト内に全許可証の写しを掲載し、運転手が外からでもその情報にアクセスできるようにしておきさえすれば、煩わしすぎる書類管理の手間を免れることが可能となります。
今回の内容でまだ電子化に取組んでいない処理企業の方は、今すぐ電子化に取り掛かりましょう!
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2024年6月13日 | コメント/トラックバック(0) | トラックバックURL |
カテゴリー:基礎知識