京都府が処分業許可申請の際に住民説明会を義務付けへ

産業廃棄物処分業への参入を考えている企業と、それを支援する行政書士にとって非常に大きな影響があるニュースです。

2013年11月26日 23時00分 京都新聞 産廃施設整備に住民説明会義務化 京都府、条例化へ

 京都府は、京都市域を除く府内で産業廃棄物処理施設の新設や拡張を計画する事業者に対し、条例で住民説明会の開催を義務づける方針を固めた。住民の意見を府が仲介して事業者に出したり、計画修正を指示する制度も設ける。事業計画に府の関与を強めることで、施設整備をめぐる住民と事業者間のトラブル回避を目指す。

 条例は焼却施設や最終処分場など産廃処理に関する施設の新設・拡張、営業の許可を知事に申請する事業者を対象とする。

 事業者には事業計画の説明会を開くなどして施設予定地の周辺住民に周知するよう義務づける。住民の声が計画に反映されるよう、知事を介して住民が事業者に意見を提起できる仕組みを設けるほか、知事が計画の修正を指示できる条項も盛り込む。手続きに従わない事業者には改善を勧告し、社名を公表することも検討している。

 これまでも府は事業者に地元同意書を得るよう求めているが、法的な根拠がなかった。産廃施設をめぐっては近隣住民との間でトラブルになるケースも多く、条例によって許可手続きを明確化し、円滑に合意形成ができるようにする。

 府環境審議会に諮問して条例案の細部を検討し、2014年2月府議会に提案。同年中の施行を目指す。近年は全国の都道府県で同様の条例を制定する動きが広がっている。

 政令市における施設設置許可権限は市長にあるが、京都市は「事業者には要綱で住民同意を得るよう求めている。今のところ条例化は検討していない」としている。

記事にあるとおり、京都府内で処分業許可を取得する際には、隣接地の土地所有者と関係自治会の同意書が手に入れば、それだけで許可取得が可能でした。

同意書を取るのは大変そうに思う方が多いかもしれませんが、不特定多数が参加する住民説明会よりも、一人ずつ入念に根回しができる同意書の方が格段に楽です。

そもそも、隣接地の土地所有者が廃棄物処理事業に反対しているのであれば、操業後も近隣とのトラブルを抱え続けることになり、苦情や通報を頻繁に行われるのが常です。

そのような土地ではそもそも事業化が非常に難しいため、自治会を別とすれば、隣接地の土地所有者の同意書を取得できない事業者はほとんどいません。

2014年2月の議会に条例案を提案し、同年中に施行と言うことですので、同意書だけで済ませたい事業者は申請手続きを急いだ方が良さそうです(笑)。

ただし、残念ながら、これから手続きに着手するような場合は、間違いなく本年度(2014年3月末まで)中には手続きが終わりませんので、住民説明会を行う覚悟をしていた方が良いでしょう。

意外にも、近畿圏では、住民説明会が必要な自治体の方が少数です。
都道府県で言うと、滋賀県、大阪府、兵庫県の3つです。

その他の自治体も説明会が求められるケースがあるかもしれませんが、議事録や参加者の意見を書類で出すことが求められていない自治体については、正式な説明会とは言えない簡易版の説明会ですので、上記に含めておりません。

大阪府の場合は、説明会の議事録のみならず録音データの提供を求められますのでご注意ください。

さて、当事務所にとってはこの条例化の動きは間違いなく追い風になります。

判子だけの同意書とは違い、住民説明には「言ってはいけないこと」「やってはいけないこと」がたくさんありますので、実施経験なしにスムーズに乗り切るのは非常に難しいからです。

機械メーカーに説明を一任すれば乗り切れるというものでもありません。

また、ブローカーまがいの自称コンサルタントに丸投げするのも考え物です。

ブローカーに任せて無事に終わることもたまにありますが、それはブローカーのコミュニケーション能力が高かったからではなく、地元の人が廃棄物処理事業に無関心であったという幸運のためであることがほとんどです。

このように書くと、「当事務所へご依頼ください」と宣伝しているように見えますが、これ以上新たな許可申請業務を増やしたいとは思っておりませんので、現在のところ誠実な経営者と会社のご依頼しかお受けしておりません。

「あんたに任せたら何でもやってくれるんやな~」という気持ちをお持ちの方とは、残念ながらうまくいった試しはありませんので、そのような方は専門の代書屋の安いセンセイをお探しください。<(_ _)>

処分業に参入したい人・企業に一番必要なのは、
面倒な手続きを全部他人任せにするのではなく、
地元と末永く強調していく姿勢を持ち続けることです。

嫌なことを全部他人任せにしていては、地元の方から「本当にやる気があるのか?」と疑われます。

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