大分県中津市でもシップリサイクル開始か

シップリサイクルは、当ブログでも何度か取り上げているテーマです。

一企業が処理を担うのではなく、造船技術がある各地域の企業がNPO法人として連合して、実証研究を進めているのが現代ならではの光景です。

その中でも、シップリサイクル室蘭がトップランナーとして、積極的に実証実験を重ね、実際の船舶解体まで成功させたことが記憶に新しいところです。

今回ご紹介する記事は、大分県中津市に設立されたNPOから、シップリサイクル室蘭が宮城県気仙沼市で行った解体作業に参加し、ノウハウの共有に成功したというもの。

シップリサイクル室蘭 清水理事長のコメント「今後1、2年で解体のニーズが高まり、事業として大きく動きだしそう。それまでに存在感を示す必要がある」は、シップリサイクル事業の将来性への期待であり、「日本という国単位で船舶の受入能力があることを示さねば」という危機感の表れでもあると思います。

今のところ船舶解体に関する特別法が無いため、事業として行う際には産業廃棄物処理業の許可が必要となりますが、NPO法人に対して産業廃棄物処理業の許可を出すのは非常に難しいと思います。

「国際情勢を睨んで解体技術の蓄積を進めても、制度面の不備のために事業化ができない」のであれば、非常に大きな社会的損失となってしまいます。

政府には一日も早い法制度の整備を期待したいところです。

2013年11月23日 08:34 大分合同新聞社 シップリサイクル中津 現場でノウハウ学ぶ

 宮城県気仙沼市で漁船の解体作業に参加した中津市のNPO法人シップリサイクル中津(半田慎一郎理事長、11社)が20日、市内で報告会を開いた。同NPOは古い船の解体、再利用について研究しているが、現場での作業は初めて。解体後の処理方法などノウハウを今後も学び、事業化に生かすことなどを話した。

 シップリサイクルは、老朽化した船を環境や安全に配慮しながら解体し、鉄など再生可能な資源を取り出す取り組み。シップリサイクルの分野で、「中津」が国内初となるNPO法人の認証を受けた。将来は中津港を拠点に、船の解体事業の展開を目指している。

 気仙沼市で解体したのは、東日本大震災の津波で市街地に打ち上げられた漁船「第18共徳丸」(330トン)。北海道のNPO法人シップリサイクル室蘭(清水一道理事長)を主体に、9月上旬から10月下旬まで50日間、実施した。「中津」の会員は交代で出向き、作業に加わった。

 報告会には会員ら13人が参加。「中津」の会員で、約1カ月参加した山川造船鉄工(鹿児島県指宿市)の冨田盛次さんが作業の流れ、労働安全対策などを映像を交えて説明。「中津港で実施する場合、資機材の整備・調達、産廃処理のノウハウ習得、需要把握などが課題になりそう」と指摘。

 清水理事長は国際的な動向を紹介しながら、「今後1、2年で解体のニーズが高まり、事業として大きく動きだしそう。それまでに存在感を示す必要がある」と強調した。採算性の質問に対しては、「ハード面の整備に国の支援を得たり、スクラップの買い取り料金の交渉がうまくいけば採算はとれる」と話した。

 半田理事長は「今回の経験を基に、中津港での事業化を探るため、行政にアプローチしていきたい」と話した。

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