破砕や破損後の取扱い

環境省が公開している「廃棄物処理法施行令等の改正に関するQ&A」の注釈です。

本日は10個目のQ&Aで、「破砕や破損後の水銀使用製品産業廃棄物の取扱い」についてです。

Q2-4: 水銀を回収した後のガラスくず(破砕したもの)や、破損した水銀使用製品は水銀使用製品産業廃棄物になるのか。水銀使用製品産業廃棄物には卒業基準はないのか。

A:水銀使用製品産業廃棄物に卒業基準は設けられていません。水銀使用製品産業廃棄物であって、破損した物又は水銀を回収した後のガラスくずや、水銀使用製品産業廃棄物を破砕したものなどは、水銀使用製品産業廃棄物のまま適切に処理していただくことが必要です。

注釈

簡潔に書かれていますが、実務においてはかなり重要な内容になります。

まず、水銀回収後に破砕した蛍光管のガラスくずは、ただのガラスくずではなく、「水銀使用製品産業廃棄物」として扱わねばならないわけですので、従来のように安定型最終処分場で埋立てることはできません。

したがって、破砕後の蛍光管を安全にリサイクルできるといった特殊な許可を所持した処理業者に委託をするか、管理型最終処分場で埋立をするかの二択になります。

次に、「破損した水銀使用製品産業廃棄物であっても、水銀使用製品産業廃棄物として処理を進めなければならない」と書かれています。

原理原則としてはそのとおりなのですが、現実としては、例えば割れた蛍光管を水銀使用製品産業廃棄物の処理業者が受け取ってくれるかどうかは別問題となります。

水銀が外部に漏出している状態で産業廃棄物を持ち込まれた場合、いくら専門の処理業者と言っても、それを安全に処理することは非常に困難だからです。

実際、既に、「蛍光管は絶対に割れないように梱包材でくるんだ状態で持ち込みをしてください」というのが、蛍光管運搬の際の最低限の基準となっています。

「理想と現実の折り合いをどう付けるか」という産業廃棄物処理にまつわる命題が、ここでも浮上しています。

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