水銀回収の目安(環境省Q&Aより抜粋)

環境省が公開している「廃棄物処理法施行令等の改正に関するQ&A」の注釈です。

本日は19個目のQ&Aで、「水銀回収の目安」についてです。

Q4-5: 水銀回収が義務付けられないものであっても、水銀濃度が比較的高濃度のものについては水銀回収に努める、とあるが、どの程度の濃度を指すのか。

A:具体的な数値は定まっていませんが、これまで水銀を回収していた廃棄物については、 1,000mg/kg未満のものであっても引き続き水銀を回収してください。

注釈

口頭での質疑レベルであれば、この内容でも問題はほとんどありませんが、
このように環境省の公式見解として、文章の形で掲載すると問題となる部分が現れます。

「これまで水銀を回収していた廃棄物」という、あまり意味の無い限定条件です。

もちろん、法律上は、水銀の廃棄物中の含有量が1,000mg/kg以上か否かだけですので、「1,000mg/kg未満」の廃棄物から水銀を回収しない場合でも違法ではありません。

しかしながら、せっかく「水銀廃棄物ガイドライン」の趣旨に沿い、
安全な水銀回収を求めているのであれば、「これまで水銀を回収していた廃棄物」かどうかに関係なく、産業廃棄物処理業者等には「中間処理後に含有量が1,000mg/kg以上になる可能性がある場合は、1,000mg/kg未満の廃棄物についても極力水銀回収をお願いしたい」と求めたとしても、罰は当たりません。

極端な話をすると、水銀の含有量が、「1,000mg/kg」と「999mg/kg」では、法律の適用がまったく異なることになりますが、環境へ水銀が流出するリスク自体はほぼ同じです。

である以上、この質疑の答えの論調は、「回収して欲しいのか」、それとも「回収しなくても良い」と言いたいのかがわからない、中途半端なものになっている
と私は思いました。

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