昭和51年11月18日付環水企181・環産17号 「油分を含むでい状物の取扱いについて」

【 油分を含むでい状物の取扱いについて 】
公布日:昭和51年11月18日
環水企181・環産17

(各都道府県・各政令市産業廃棄物行政担当部(局)長宛環境庁水質保全局企画課長・厚生省環境衛生局水道環境部参事官(産業廃棄物担当)連名通知)

廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「法」という。)の油分を含むでい状物の取扱いに係る運用については、左記により行うこととするので、関係方面に対する指導方よろしくお願いいたしたい。
なお、油分を含む汚でいの埋立処分基準について、今後、必要な調査検討を行うこととしている。

1 産業廃棄物分類上の取扱い

(1) 油分をおおむね五パーセント以上含むでい状物は汚でいと廃油の混合物として取扱うこと。
石油類のタンク又は廃油貯留槽の底部にたまったでい状物、廃油処理又は油の糖製に使用した廃白土、廃油処理のための遠心分離施設から生ずるでい状物等は通常これに該当する。
(2) 油分を含むでい状物であつて(1)に示す汚でいと廃油の混合物に該当しないものは、汚でい(油分を含む汚でい)として取扱うこと。
ガソリンスタンドから生ずる洗車汚でい、油水分離施設から生ずる汚でい、含油廃水処理に伴い生ずる汚でい等は通常これに該当する。
なお、(1)で示す汚でいと廃油の混合物に該当するでい状物中の油分を抽出、分離等により除去した結果(1)に示す汚でいと廃油の混合物に該当しなくなつたでい状物は、汚でい(油分を含む汚でい)として取扱うものであること。
2 埋立処分の方法

(1) 汚でいと廃油の混合物の埋立処分を行う場合には、あらかじめ法施行令(以下「令」という。)第六条第一号ト又はチにより焼却設備を用いて焼却しなければならないこと。
(2) 汚でい(油分を含む汚でい)の埋立処分を行う場合には、令第六条第一号に定める汚でいに関する基準に適合する方法によらなければならないものであるが、その際特に次の点に留意すること。
ア 当該汚でいをそのまま又は脱水のみを行つた後埋立処分を行う場合には、覆土を十分に行う等悪臭防止対策に努めること。
イ 当該汚でいの性状及び埋立地の構造(浸出液の油水分離施設の設置の有無等)からみて、当該汚でいをそのまま又は脱水のみをした後埋立処分を行うことによつては、油分を含む浸出液により環境が汚染されるおそれがある場合においては、あらかじめ焼却等の処理を行うこと。


悪用されることの多かった通知です。
油分が5%以上あるかどうかで、処理の方法がガラッと変わることになるため、油分が少なくなるよう残土を大量に混ぜるなど、不法投棄を徒に拡大させるきっかけになったとも言えるでしょう。

現在では、焼却、熱分解、あるいは含水率を85%以下にしない限り、汚泥をそのまま最終処分場に埋めることはできません(廃棄物処理法第12条、廃棄物処理法施行令第6条第1項第3号へ)。

不法投棄の歴史を知る上では欠かすことのできない通知ですので、当ブログにも掲載しておきます。

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コメント

  1. おっちゃん より:

    はじめてコメントします。
    地方で自営業を行っているものです。
    油と土壌の混合物についての取扱いについて彷徨ってようやくこのHPにたどりつきました。

    土壌中に廃油があるのですが、廃油の割合は5%未満です。
    昭和51年の廃油と汚泥の混合物について当時の環境庁が5%以上は汚泥と廃油の混合物であり、5%未満は汚泥であると示しています。
    それを踏まえ、汚泥を土壌と読み替えれば、5%未満の廃油を含んでいても土壌であると言えるのでしょうか?
    廃油は、5%未満になるように投機したわけでは無く、ボーリング調査で廃油を確認し、5%未満であることを確認しています。
    廃棄物処理法上、そういった規定ってあるのでしょうか?
    よろしくお願いします。

  2. 尾上雅典 より:

    おっちゃん様 コメントいただき、ありがとうございました。

    廃棄物処理法では、具体的な廃油の基準が設けられているわけではないので、この通知のような基準で廃油かそうではないかを判断することになっています。

    そのため、この通知は法律ではなく、あくまでも解釈基準という位置づけです。

    ただ、廃油の含有量や状況によっては、5%以上という基準に関係なく、適切な処理をした方が妥当なケースもありますので、実際に処理を進める際には、施工業者や行政とよく打ち合わせをしておくことをお奨めします。


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