廃棄物の輸出入に関する統計2件

2015年3月31日付で、環境省から平成26年1月から12月分の廃棄物の輸出入に関する統計2件が公表されました。

まず1本目
廃棄物処理法に基づく廃棄物の輸出確認及び輸入許可(平成26年)について

2 平成26年における廃棄物の輸出の状況
(1)廃棄物の輸出の内容は別添1のとおりです。輸出報告のあった品目は、全て石炭灰で、輸出の相手国・地域は韓国及び香港であり、全てセメント製造における粘土代替原料又は混和材としての利用を目的とするものでした。
(2)環境大臣が輸出確認を行った廃棄物の輸出は39件(注2)で、その輸出確認量は2,314,159トンでした。(平成25年は38件、2,296,489トン)。また、輸出確認を得たもののうち、実際に輸出され処分が終了したものとして報告された量は1,570,545トンでした(注3、平成25年は1,464,763トン)。
(3)廃棄物の輸出確認制度施行以降の輸出確認及び輸出報告量の経年変化は、別添2のとおりです。
waste-export
3 平成26年における廃棄物の輸入の状況
(1)廃棄物の輸入の内容は別添3のとおりです。輸入報告のあった品目は廃乾電池、ヨウ素含有廃触媒、廃プラスチック類等で、輸入の相手国・地域は台湾、韓国、中国等であり、大半のものが資源回収を目的とするものでした。
(2)環境大臣が輸入許可を行った廃棄物の輸入は5件(注2)で、その輸入許可量は5,825トンでした(平成25年は11件、6,714トン)。また、輸入許可を得たもののうち、実際に輸入され処分が終了したものとして報告された量は2,336トンでした(注3、平成25年は1,988トン)。
(3)廃棄物の輸入許可制度施行以降の輸入許可及び輸入報告量の経年変化は、別添4のとおりです。
waste-inport

韓国への石炭灰の輸出が多いのは、日本の火力発電所その他で発生する石炭灰を、日本から1tあたり28,000ウォン(約3,000円)の奨励金を付けて輸出し、韓国でセメント原料として再生利用しているためです。

日本企業にすると、管理型最終処分場に埋める場合はもっと多額のコストが必要となるところ、韓国では格安で再生利用してくれる以上、輸出をしない手はありません。

しかしながら、最近、韓国内では、石炭灰へ放射性物質が混入するおそれがあるとして、「廃棄物の国家間移動およびその処理に関する法律」を改正し、日本からの石炭灰輸入を禁止する見通しです。
【韓国】日本産石炭灰の輸入・使用、禁止の見通し

韓国の政治的駆け引きなのか、それとも本当に放射性物質が混入した事実があったのかはわかりませんので、「韓国側で石炭灰の輸入禁止化の動きがある」という指摘に止めておきます。

次に2本目。
特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律の施行状況(平成26年)について

2 平成26年における特定有害廃棄物等の輸出の状況
(1)特定有害廃棄物等の輸出の内容は、別添1のとおりです。移動書類を交付した案件の主な品目は、鉛スクラップ(鉛蓄電池)、石炭灰、鉛灰で、金属回収など再生利用を目的とするものでした。また、主な輸出先は、韓国、香港、シンガポール、米国でした。
(2)輸出の状況について、輸出手続の段階別に整理すると以下のとおりです。
1.輸出承認の申請を受け、環境省から輸出先国に対する事前通告を行ったものは115件で、その輸出予定量は、412,861トン(平成25年は、77件、330,806トン)でした。
2.相手国からの輸入同意の回答を得て、経済産業大臣が輸出の承認を行ったものは79件(注2)で、その総量は277,411トン(平成25年は、72件、405,167トン)でした。
3.輸出の承認を得たもののうち、実際に輸出が開始され、経済産業大臣が輸出移動書類の交付をしたものは、1,098件(注3、注4)で、その総量は、180,035トン(平成25年は、1,019件、200,307トン)でした。
(3)バーゼル法施行以降の特定有害廃棄物等の輸出量(輸出移動書類に記入された量)及び輸出の件数(輸出移動書類の交付件数)の推移は別添2のとおりです。
basel-ex26

3 平成26年における特定有害廃棄物等の輸入の状況
(1)特定有害廃棄物等の輸入の内容は別添3のとおりです。移動書類を交付した案件の主な品目は、電子部品スクラップ、金属含有スラッジ、電池スクラップ(ニッケルカドミウム、ニッケル水素、リチウムイオン等)で、金属回収など再生利用を目的とするものでした。また、主な輸入先は、香港、台湾、タイ、フィリピン、シンガポールでした。
(2)輸入の状況について、輸入手続の段階別に整理すると以下のとおりです。
1.相手国から我が国への輸出についての事前通告を受領したものは139件で、その輸入予定量は173,735トン(平成25年は、113件、86,709トン)でした。
2.輸入者からの輸入承認の申請により経済産業大臣が輸入承認を行い、環境省から相手国に対し輸入同意の回答を行ったものは125件(注5)で、その総量は、139,621トン(平成25年は、103件、96,273トン)でした。
3.輸入の承認を得たもののうち、実際に輸入が開始され、経済産業大臣が輸入移動書類を交付したものは516件(注3、注6、注7)で、その総量は、29,904トン(注8)(平成25年は、387件(注7)、32,222トン(注8))でした。
(3)バーゼル法施行以降の特定有害廃棄物等の輸入量(輸入移動書類に記入された量)及び輸入の件数(輸入移動書類の交付件数)の推移は別添4のとおりです。
basel-in26

有害性のある廃棄物を輸出入する場合は、「特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律(通称「バーゼル法」)」に基づき手続きが行われます。

グラフを見ると、輸出入の双方において、ここ数年量と件数が急増していることがわかります。

円安傾向が進んでいますので、廃棄物の輸出は今後も増え続けていきそうです。

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