家電リサイクル法に基づく立入検査状況(令和3年度)

企業における法令遵守の浸透度や優先度の高低を量る上で興味深い発表がありました。

2022年7月8日付 環境省発表 「家電リサイクル法に基づく立入検査の実施状況について(令和3年度分)

(2) 令和3年度の立入検査の実施状況
 令和3年度は、小売業者に対する立入検査を216件実施しました。そのうち、141件の立入検査において、延べ348件の指導等を行いました。なお、令和3年度の実施件数は、令和元年度の立入検査の実施件数(469件)と比較して減少しています。これは、令和2年度に引き続き新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から、緊急事態宣言等の状況を踏まえ、一部の立入検査を差し控えたためです。

 環境省及び経済産業省においては、今後も立入検査等を実施すること等により、引き続き、家電リサイクル法の適正な施行に努めてまいります。

令和3年度立入検査件数(事業者ベース)
立入検査件数       216件
 うち指導等を行った件数 141件
 うち指導等無し件数 75件

令和3年度立入検査における指導等件数(件数ベース)
指導等事項 指導等件数
家電リサイクル券の記入等について 122件
家電リサイクル券の交付について 54件
収集・運搬料金の公表・請求等について 31件
廃家電4品目の製造者等への引渡しについて 36件
廃家電4品目の保管について 27件
家電リサイクル券の保存について 19件
収集・運搬の適切な委託について 17件
リサイクル料金の応答・請求等について 7件
引取義務のある廃家電4品目の引取りについて 2件
その他 33件
計 348件
※ 同一事業者に対して、同一の指導等事項に該当する指導を複数件行う場合があります。
 このため、指導等件数は立入検査件数に比べ多くなっています。

立入検査の対象は、「小売業者」ですが、「家電リサイクル法第5条」では、「特定家庭用機器の小売販売を業として行う者」と定められています。

「小売業者」と聞くと、一般的なイメージでは「家電量販店」か「街の電器屋さん」しか思い浮かばないのではないかと思いますが、「家電リサイクル法」の「小売業者」はもっと広い意味となり、
「インターネット販売」「通信販売」「リユース品を販売する古物商」の他、
代金の取り方次第では「賃貸物件管理業者」も「小売業者」になるケースがあります。

要は、消費者に対して最終的に特定家電を販売した事業者すべてが「小売業者」になるわけです。

立入検査216件のうち、法的な瑕疵が無かった件数は約3分の1の75件で、残りの3分の2の141件では、何らかの法律違反が見つかったことになります。

このような状況を見る限り、大部分の「小売業者」が家電リサイクル法に基づく責任を認識していなかったと言わざるを得ません。

もちろん、法律である以上、「規制を知らなかった」という言い訳はまったく通用しませんが、
これだけ事業者間で法規制の内容が知られていない状況を考えると、
国としてはもっと積極的な周知啓発が必要なのではないでしょうか。

その第一歩として、
実態を正確に表していない「小売業者」という表現を、もっと現実的な表現に改めると同時に、それらの事業者に含まれる者の定義をさらに具体化することが不可欠と考えます。

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