気象庁による過去の不法投棄の清算

昨年10月の兵庫県内でのバッテリー不法投棄の発覚以後、気象庁が全地方気象台で同様の不法投棄が行われていなかったかどうかを調査したところ、各地の地方気象台で過去に同様の不法投棄が行われていたことが続々と発覚しています。

三重県津地方気象台 
2014年10月31日 産経ニュース バッテリー不法投棄 基準値28倍の水銀検出 三重・津地方気象台

島根県松江地方気象台 
2014年10月31日 朝日新聞 島根)無人観測所跡に水銀含む電池投棄 松江地方気象台

同様の機器が使用されていたすべての気象台において、バッテリーの不法投棄が行われていたと考えた方が良さそうです。

ただし、当時の廃棄物処理法では、“不法”投棄に該当するかどうかは微妙な面があり、バッテリーを捨てた場所によっては不法投棄に該当しない可能性があります。

しかしながら、投棄現場の土壌から水銀が大量に検出されている以上、政府機関である気象庁は土壌の浄化措置等を含めた廃棄物の撤去作業を行う必要があります。

年末までには、各地方気象台から同様の発表が相次ぐかもしれませんが、
「行政機関による廃棄物の不法投棄」という、報道機関が色めき立ってもおかしくない事件であるにもかかわらず、それについて触れる報道は淡々とした印象です。

その理由としては、
・行為者である気象庁が廃棄物の撤去に止まらない、土壌浄化を含めた原状回復策を講じること
・30年以上も前の不法投棄であること
等が挙げられると思います。

危機管理対策としては、
「自社にとって不利益な情報であっても、事実を速やかに開示する」ことと
「是正措置や再発防止策の表明」が不可欠です。

気象庁の今回の一連の動きとしては、
「事実の速やかな開示」という部分に少々問題があったと言わざるを得ませんが、
「是正措置」についてはほぼ満点の内容であったため、リスクの拡大を抑え込めたと言えそうです。

起こしてしまった事実は変えられませんが、
事後対策を適切に行うことによって、社会的批判をかなり少なくすることが可能という実例ですね。

もちろん、事後対策よりも、法律違反や環境汚染をしないことが最も重要なことは言うまでもありませんが、
それらの予防措置は、「予防措置を取らなかったことで発生する痛み」を想像しにくいため、平常時におざなりになってしまうのが人間の習性でもあります。

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