廃棄物処理法違反で有罪になる確率

廃棄物処理法違反にも色々な種類がありますが、企業で働く人が廃棄物処理法違反で有罪となる確率はどれくらいと思われますか?

母数をどう定義するかで確率計算の結果がガラッと変わりますが、
母数を「検察庁に送致された件数」とすると、廃棄物処理法違反は非常に高い確率で起訴されています。

日本の刑事裁判システム上、起訴された場合、有罪となる確率が99%以上に上りますので、事実上、起訴された時点で有罪になることを覚悟しなければいけません。

逆に言うと、検察に送致されたとしても、検察が起訴しない数も非常に多いため、「逮捕=有罪になる」わけでもありません。

このあたりの状況を明確に示す数値を、「平成26年版 犯罪白書」より抜粋しました。

crime

「廃棄物処理法違反」と「自転車運転過失致死傷罪」は、まったく態様を異にする犯罪ですが、個人にとって現実に起こし得る確率が高い犯罪として対比の対象としました。

ただし、この表の対象となる廃棄物処理法違反の大部分は、「不法投棄」や「野外焼却」です。
しかしながら、数は少ないながらも、「委託基準違反」も起訴された4,173件の中に含まれています。

検察に送致された件数としては、廃棄物処理法違反は自動車運転過失致死傷罪の1割以下に過ぎませんが、
刑事事件として起訴される確率は、廃棄物処理法違反の方が6倍以上になります。

自動車運転過失致死傷罪の場合は、被害者との示談が整った場合その他で、検察が起訴をしない確率が9割と非常に高いわけですが、
廃棄物処理法違反の場合は、検察による“お目こぼし”が4割程度しかありませんので、起訴されないように優秀な弁護士を雇う必要があります。

さて、上の図は、実際に講演の際に使っているパワーポイント資料の1枚ですが、
「問 廃棄物処理法違反で起訴されるのは誰でしょうか?」という問いかけを参加者にしています。

答えは「A 社長」か「B 担当者」のどちらだと思いますか?

正解は

「社長と担当者の両方が有り得る」です。

もっとも、比較的大きな組織の場合は、社長自らが廃棄物処理を陣頭指揮していることはほとんどありませんので、「担当者」が逮捕・起訴されることがほとんどで、
中小零細企業で、社長自身がコスト削減に血道をあげ、不適正処理を陣頭指揮しているような場合は、社長個人が逮捕されることになります。

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