業許可を取消された後の現実

今日は業許可を取消された後の現実をお話しします。

すべて実話で、複数の処理企業がたどった現実です。

許可取消直後

まずは、業許可を取消された直後ですが、
この時点で廃棄物処理事業が営めなくなりますので、大部分の処理企業の命運がここで決まるとも言えます。

たとえ顧客がいたとしても、その顧客から委託を受けることができなくなりますので、収入が激減することになります。

また、たくさんいたはずの顧客の大部分は、他の処理業者に流れていくことになります。

事業継続のために

同じ事業地で廃棄物処理事業を継続するためには、新会社を設立する必要が生じます。

ここで重要になってくるのは、許可が取消された企業の役員や株主は、取消から5年間経過するまでは欠格者のままですので、
新会社の役員や出資者にはなれません。

そのため、許可取消時点で会社とは無関係だった親族や第三者に出資をしてもらう必要があります。
新会社の役員も、第三者に就任してもらう必要があります。
旧会社の従業員が新会社の社長などに就任するケースが多くなっています。

形式的に第三者を役員として登記し、旧経営陣が裏で実質的に経営するというのは、
欠格要件の「おそれ条項」に抵触しますので、非常にリスキーと言わざるを得ません。

しかしながら、実際には、第三者を対外的には代表者とし、旧経営陣が表に出ずにそのまま経営しているケースが多いと思われます。

新会社の業許可取得

廃棄物処理事業を行うためには、業許可の取得が不可欠となりますので、改めて新会社が業許可を取得しなければなりません。

自治体によっては、地元合意や同意書の取得のやり直しが求められることがあります。

また、産業廃棄物処理施設を設置している場合は、旧会社から新会社への譲渡(新会社による譲受)の許可も必要です。

欠格要件に該当しないよう、役員や出資者の人選が重要なのは上述した通りです。

新会社による操業開始後

ここでようやく再出発のスタートラインに立つことができるようになります。

失った顧客を取り戻すため、あるいは新規顧客を開拓するために、従前以上の営業努力が必要となります。

資本金を上回る利益を確保しないことには、早晩債務超過に陥ってしまいますので、時間との勝負とも言えます。

中小企業の場合は、経営陣が個人財産を会社に対して貸付ける形で、苦境を乗り切るのが通例ですが、旧会社の経営陣が新会社に貸付をすると、新会社への出資と同視されますので欠格要件に該当する可能性が高くなります。

後は、いかに新会社を継続させていくかだけとなりますが、
同じ敷地で2つの会社が存在する場合、経費や資産の分担が複雑になりがちです。

新会社の税負担を抑えるために、休眠状態の旧会社に対する「未払手数料」などを巨額に計上する会社が中にはありますが、
そのような形式的な節税(脱税?)をやりすぎると、簡単に債務超過に陥ってしまいますので、許可を更新できなくなることもありますので、ご注意ください。

取消から5年後

これでようやく旧経営陣が新会社の経営に復帰することが可能となります。

旧会社に廃棄物処理事業を戻す場合は、改めて旧会社が業許可を取得しなければならないため、新会社がそのまま事業を継続する場合が多いようです。

このため、新会社への事業引き継ぎが終わった時点で、旧会社を清算しても問題はありません。

旧会社に思い入れがあるとか、旧会社が廃棄物処理業以外の別の事業を行っているという理由がない限り、旧会社を存続させる理由がないからです。

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