長崎県土地開発公社がPCB廃棄物を不適切に処分

毎日新聞より抜粋
県土地開発公社:PCB不適正処分 業者に廃棄物内容告げず /長崎

長崎市廃棄物対策課はこのほど、県土地開発公社がポリ塩化ビフェニール(PCB)廃棄物として保管していた蛍光灯安定器18台を他の産業廃棄物とともに不適正に処分していたと発表した。公社は処分を依頼した業者に対し、蛍光灯安定器がPCB廃棄物と知りながら、それを告げていなかったという。
今月14日に公社から長崎市に提出されたPCB廃棄物の保管・処分状況の報告書により、不正処分が発覚。
公社によると、PCBは蛍光灯安定器コンデンサー部分に絶縁油として使用され、含有量は1台当たり最大50グラム。同公社で使用していたものを01年9月と03年9月に取り替え、公社内の倉庫に保管していた。08年4月に倉庫内のテーブルなどの不要物品廃棄の際、一緒に廃棄するよう業者に指示したという。
廃棄物処理法により、PCB含有廃棄物は、指定された施設でないと処理できない。公社は「昨年4月時点では、同廃棄物を保管し続けなければならなかったのに、認識が甘くなっていた。最終処分先を確認し、回収に全力を挙げたい」としており、今後、関係者の処分も検討していく。

とんでもない事件が行政関係機関によって引き起こされました。
長崎県土地開発公社が、PCB廃棄物を、一般的な産業廃棄物と一緒に処理業者に処理させてしまいました。

記事に書いてあるとおり、PCB廃棄物を日本環境安全事業株式会社以外に処理委託するまでの間は、排出事業者が適切にそれを保管し続けなければなりません。

しかし、長崎県土地開発公社は、それを違法に処理委託したばかりか、無邪気?にも長崎市に対して「PCB廃棄物を処理済み」と報告してきました。

違法性を全く認識していなかったとしか思えませんが、それによって不祥事が発覚いたしました。

長崎県土地開発公社がした違法行為を列挙いたします。

  • 委託基準違反
  • PCB廃棄物の譲渡し

大別すれば、この2つの違反に集約できますが、行政関係機関としては、いずれも重大な法律違反です。

長崎県土地開発公社は、「関係者の処分を検討中」と語っていますが、直接委託処理をしてしまった担当者のみならず、PCB廃棄物の保管に携わってきたすべての当事者の責任も軽くありません。

通常のPCB廃棄物の保管方法は、他の産業廃棄物との違いが明確に分かるよう、専用の保管場所を設け、掲示板によって注意を喚起するようになっています。

長崎県土地開発公社の場合は、この保管方法が採られておらず、倉庫に雑然と放置されていた可能性が高いと思われます。

行政関係機関としては、あるまじき失態です。
直接の当事者を処罰しただけで幕引きをするのではなく、「なぜ法律に反する方法で保管されていたのか」「どうして法律の規定を知らなかったのか」を徹底的に調査し、二度とこのような失態を繰り返さないようにしなければなりません。

それと、「最終処分先を確認し、回収に全力を挙げたい」とも語っていますが、1年前に処理した廃棄物の現在の所在を調べることは、現実的には不可能です。

宝くじに当選する以上の幸運で廃棄物の所在がつかめたとしても、肝心のPCBが一緒に見つかる可能性は天文学的に小さくなるでしょう。

このような不適正処理はあってはならないことですが、現実的に実現不可能な目標をマスコミに表明するのは、単なる目くらましです。

長崎県土地開発公社の一連の行動は、あらゆる面でまずい対応事例のサンプルとなってしまいました・・・

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