善商不法投棄事件の爪痕

善商不法投棄事件は、廃棄物処理法の「保健所政令市」の定義を変えるきっかけになった事件です。

その他、排出事業者への措置命令や撤去費用の負担強制など、その後の廃棄物規制の流れを、「規制強化」という激流へと変えるきっかけにもなりました。

事件の発覚から既に5年が経過していますが、発覚当時に現地で行っていた「野焼き」の火が、いまだに地下深くでくすぶっていたようです。

毎日新聞

岐阜・山林産廃不法投棄:岐阜市が消火作業 来年1月から掘削開始--椿洞 /岐阜

岐阜市椿洞の産業廃棄物不法投棄問題で、市は4日、地中で燃焼している産廃の消火作業を始めた。11月末ごろまでに作業を終了し、来年1月から産廃の掘削を始める予定。

実施するのは、産廃の温度が70度以上の区域約3500平方メートル。4平方メートルに1本の割合で直径約90ミリ、最長30メートルのパイプを計約960本打ち込み、それぞれに毎分約200リットルの水を注ぐことで、温度を30度まで下げる。

注水により地表にしみ出る水は、コンクリートの止水壁で止め、濁水処理をして再利用する。また、活性炭を入れたろ過装置を各ボーリング機の脇に設置。パイプを通じて昇ってくる可能性のあるガスを浄化してから大気中に出すという。市産業廃棄物特別対策課は「汚水や有害なガスが外に出る事はない」としている。

同課によると、投棄された産廃は、04年には深さ最大約50メートル、約75万3000立方メートルに及んだ。上から圧力がかかったことや、かつて野焼きした際の火がくすぶり続けていることなどが地中で燃焼している原因とみられる。地下約10メートルで560度に達する地点もあり、放置した場合、燃焼が広がって陥没する可能性があるという。

同地区の産廃は08年3月、細江茂光市長が撤去の代執行を宣言しており、12年度までにすべての産廃を撤去する方針。

5年間燃え続けられるということは、地下にはプラスチックなどの可燃物が大量に埋められているはずです。

岐阜市は行政代執行に着手しており、上記の消火対策にも岐阜市民の税金がつぎ込まれることになります。

今後、岐阜市としては、行政代執行に要した経費を、善商への委託者(排出事業者)に負担を求めていくことと思われます。

活性炭などで浄化処理をしているため、費用的にも安くはない金額になるはずです。
不法投棄されることを前提にして、善商と契約をした企業はほとんどないと思います。

しかし、善商に委託した企業の大半は、「不適切な委託だった」とみなされてもおかしくない、契約書とマニフェストの不備がありました。

その結果、中には委託した廃棄物の全量撤去費用として、1月当たり100万円以上の費用を負担し続けている企業もあります。

「たかが書類の記載漏れくらい」とリスクを過小評価することなく、
「万が一、不法投棄された時には委託者の責任がどう問われるか」という観点で、この事件の報道をとらえていただければと思います。

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