相次ぐ公営最終処分場の不振(滋賀県)

12月11日の記事 山梨県明野処分場の問題 の山梨県に引き続き、今度は滋賀県が設置した処分場の経営不振の問題です。

京都新聞 廃棄物受け入れ 目標の半分「クリーンセンター滋賀」 から記事を転載します。

昨年10月末に開業した滋賀県の管理型最終処分場「クリーンセンター滋賀」(甲賀市)の本年度の廃棄物受け入れ量が、11月末までに計約1万1400トンと、県の本年度目標の半分にとどまっていることが、14日の県議会環境・農水常任委員会で報告された。

本年度の受け入れ目標量は年間2万3000トンだったが、11月までの月平均は約1400トンと低調で、残り4カ月を月平均で単純計算しても本年度合計は1万7000トンにとどまる見通し。

受け入れ開始の昨年11月から昨年度末までの5カ月間は、臨時的な大量搬入もあって約2万5100トン、月平均で約5000トンだった。今年10月までの開業1年の受け入れ量は約3万4800トンだった。

同委員会で県は「残り4カ月で目標達成は厳しい状況。景気が厳しいこともあり、なかなか増加とならない」と説明したうえで、9月に導入した継続受け入れでの割引制度などの営業努力で、受け入れ量の増加につなげたいとした。
同センターは当初想定の受け入れ見込み量を確保できず、開業前に受け入れ見込みを当初の3分の1以下の年平均2万トンに大幅下方修正。そのうえで、県が本年度も出捐金など12億円を支出している。

近畿の水がめである滋賀県は、琵琶湖の水質保全に熱心な行政です。
しかし、昨年財団法人滋賀県環境事業公社(つまり、滋賀県の外郭団体)が管理型処分場を設置するまでは、滋賀県も山梨県と同様、県内に管理型最終処分場がありませんでした。

琵琶湖の水質保全に努める一方で、行政として管理型最終処分場を設置を決意したことを、個人的には英断と評価したいと思います。

ただし、公金を使った事業である以上、巨額の赤字を出すことだけは絶対に避けなければなりません。

赤字を出さないためには、事業に伴う支出を、事業収入が上回らねばなりません。
そのためには、支出をできるだけ抑え、収入をできるだけ増やす必要があります。

小学生でもわかることをクドクド書いてしまいましたが、公営施設の場合、どうしても支出(施設の管理費用・人件費)を極大化する一方で、収入は放っておいても増えると夢想する傾向があります。

滋賀県の処分場の場合、設置初年度の廃棄物搬入量が予想外に多かったため、余計に収入が勝手に増え続けると思い込んだのかもしれません。

民間事業なら当たり前の、「身の丈に合った経営」が最初から無視された計画であるため、今後ますます赤字が増大する可能性があります。

財団法人滋賀県環境事業公社 のHPを見てみると

廃プラスチック類の受入れ単価が「1tあたり21,000円」と、非常に高い設定になっているため、受入れ量が少ない現状は当然の成り行きと言えそうです。

今滋賀県に必要なのは、ダラダラと公金を投じて赤字の穴埋めをし続けることではなく、管理型最終処分場として魅力を持った施設に再生し、身の丈に合った経営を早急にさせることです。

それと、この処分場は管理型最終処分場ですので、本来は「アスベスト」を埋めることが可能な施設ですが、なぜか「アスベスト」の埋立許可を持っていません。

滋賀県が公開している許可情報

アスベストは、現在製造と使用が共に禁止されている物質ですが、過去に立てられた建築物の中には、アスベストが吹き付け材などとして使用されているものがたくさんあります。

公営処分場としては、アスベストの処分先としての役割を担うべきですので、埋立処分ができるよう、アスベストを追加で申請する必要があると思います。

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