し尿処理参入訴訟鹿児島地裁判決 「原告の訴え却下」

西日本新聞 し尿処理参入訴訟鹿児島地裁判決 「原告の 訴え不適法」

最近別の意味で話題となる鹿児島県阿久根市に関する訴訟の判決が出ました。

 鹿児島県阿久根市の竹原信一市長が、市のし尿処理業者数の制限を撤廃し新規参入を認めたのは違法として、従来の許可業者2社が新規参入許可の取り消しを求めた訴訟の判決が25日、鹿児島地裁であり、山之内紀行裁判長は原告の訴えを却下した。竹原市長の市政運営をめぐる法廷闘争は、市職員の懲戒免職訴訟の敗訴などで市側が「6連敗」していたが、今回初めて勝訴した。

 判決理由で山之内裁判長は「廃棄物処理法は既存の許可業者の経済的利益を保護する趣旨とは解されず、原告の訴えは不適法」と述べた。

 判決によると、阿久根市のし尿処理は市条項(内規)で原告2社以外の参入を認めていなかったが、竹原市長は2008年9月の市長就任の8日後に「競争原理を導入する」と市条項を撤廃。同11月、別の1業者の参入を認めた。

 2社は、過当競争で経営が悪化すれば事業継続が危うくなり、し尿処理サービスの安定供給を定めた廃棄物処理法の趣旨に反する、と主張。

 市側は、同法に既存業者の利益保護の規定はなく、2社に訴える資格はないと反論していた。

 竹原市長は市議会で弁護士費用を否決され、代理人不在のまま、市長本人が出廷するなどして争った。

 判決文で示されたとおり、廃棄物処理法には一般廃棄物処理業者の経済的利益を保護する規定は存在しません。

 ただし、現在でも多くの地方自治体では、廃棄物の収集事業などについては、行政自ら設備投資をすることなく、民間事業者と随意契約をし、民間事業者に丸投げをしているところがたくさんあります。

 そのような場合、随意契約や新規業者の参入禁止措置は、民間事業者の設備投資努力に報いるためのインセンティブとして存在していたのも事実です。

 それまでは、民間事業者におんぶにだっこで頼りきっていながら、何らかの事情で急に手のひらを返されてしまうと、民間事業者にしてみれば、それまでの設備投資努力がまったくの無駄になってしまいます。

 阿久根市の裁判でも、この信義則違反を主張すれば、もっと違った結果になったかもしれませんね。裁判をやってみないことにはわかりませんが。

 業の門戸開放は避けられないとしても、それまで協力して一般廃棄物の処理事業をやってきていた以上、いきなりの完全門戸開放ではなく、2~3年の移行期間を設けるなど、何らかの激変緩和措置を取っていただきたいものですね。

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  1. 判例 update より:

    【行政事件:一般廃棄物処理業及び浄化槽清掃業の許可処分取消請求事件/鹿児島地裁/平22・5・25/平21(行ウ)14】分野:行政…

    事案の概要(by Bot): 本件は,阿久根市から一般廃棄物処理業の許可(ただし,そのうちの一般廃棄物収集運搬業の許可(廃棄物処理法7条1項)に限る。以下,「一般廃棄物処理業の許可」という場合には,一般廃棄物収集運搬業の許可を含むものとする。)及び浄化槽清掃業の許……

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