民家のゴミ撤去を行政代執行 三重県名張市

 毎日.jp 行政代執行:民家に初 ごみ撤去や剪定--名張・桔梗が丘南 /三重

 三重県名張市によって、全国的にも珍しい、民家内のゴミ撤去の代執行が行われました。

 記事には、「三重県初」と書かれていますが、民家の敷地内のゴミを代執行で撤去というのは、全国でも初めてではないでしょうか。

 「ゴミ屋敷」の存在が、各地で問題視される昨今、三重県名張市は、法律的な裏付けには目をつむり、「蛮勇」をふるって、行政代執行という強権を発動したことになります。

 記事の表現からは、ゴミを堆積させることで、どれほど周囲に迷惑をかけていたのかはよく分かりませんが、たとえそのゴミが大量だったとしても、問題発覚後半年程度で代執行に踏み切るというのは、かなり異例なことです。

 日本国憲法上は、公共の福祉を害しない限り、(行政等の権力から)私有財産は保護されるべきものであり、行政は慎重に公権力の行使方法を検討する必要があります。

 堆積していたものが、「硫酸ピッチ」などの有害廃棄物なら代執行もやむなしですが、「臭い」というだけで、いきなり代執行に踏み切るのは勇み足と言わざるを得ません。

 「ここは面倒でも、廃棄物処理法第19条の4に基づく措置命令をかけてから、代執行に踏み切るべき」
 と書こうと思いましたが、廃棄物処理法上、一般廃棄物の保管基準違反は、措置命令の対象に入っていませんでした。
 今年の廃棄物処理法改正後も、その状況は変わっていません。

 だからこそ、三重県名張市は、法律ではなく条例に基づく代執行に踏み切ったのでしょう。
 
 ただ、それでも、実際の行為者と一度は会い、行為の真相を直接ただしてみるべきでした。
 代執行が強力な公権力の行使である以上、「欠席裁判」ではなく、行為者に意見を表明させる機会を設けるべきでした。

 手続き上はゴミ屋敷に対して代執行は可能ですが、後日紛争になった場合、代執行にいたるまでの経緯が問題になることは十分考えられます。

 せっかくふるった「蛮勇」が無駄にならないよう、日々の行政指導をしっかりとやっていただきたいものです。 

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