農薬のリスクと似たような話
読売ONLNE 砂利からアスベスト
アスベスト(石綿)被害を調査する市民団体「関西労働者安全センター」(大阪市)などは30日、砂利や舗装材として建築廃材を砕いてリサイクルした「再生砕石」の使用が見受けられる京阪神の駐車場など計63か所で、石綿を含むスレート廃材片を確認したと発表した。
9~11月に大阪、京都、神戸、兵庫県尼崎、豊中5市の公園や市営住宅の敷地などで採取した廃材片を分析。健康被害の恐れは低いというが、同センターは「石綿を含む廃材は法規制で再資源化されないはず。ずさんな解体や分別処理が横行している証拠」とし、行政に解体現場の監視強化を求めている。
再生砕石への石綿混入は首都圏でも確認されており、国土交通省などは9月、解体工事業者や廃棄物処理業者に法令順守の徹底を通知している。
石綿含有建材を破砕処理して、建築資材として再利用することは禁止されています。
しかしながら、非意図的に、破砕工程で石綿含有建材が混入してしまうことは避けがたいのが事実です。
破砕をする産業廃棄物の中に、石綿含有建材の割れた断片が少しでも入っていれば、それを個別に撤去することはほぼ不可能だからです。
そのため、問題の責任を処理業者や行政の怠慢とするのは大きな間違いです。
行政が1万回現場を監視したところで、断片の混入を完全に防ぐことは無理です。
そもそも、断片の1つたりとも混入をさせないために必要な監視コストや選別のコストはどれくらいになるのでしょうか。
人件費だけでも10倍以上に跳ね上がるのは間違いありません。
もちろん、吸い込めば人が即死するような物質であるなら、コストをかけてでもしっかりと対策をする必要がありますが、
石綿含有建材の場合は、そんな有毒性や有害性は持っていません。
石綿含有建材が微量に検出されたからといって、その地域周辺の大気環境には変化が現れてない以上、リスクを無制限に拡大解釈するのは冷静な判断とは思えません。
「完全に安全と証明できない限り、廃材の再利用を認めない」という、言わば1か0かの極端な価値基準ではなく、最大限1(=安全)に近づける努力をした上で、「0.98」の状態を維持し続ける方が社会にとっても望ましい状態です。
昨今の報道では、「石綿含有建材」と、そこに含まれる「アスベスト」のリスクを混同しているものが多いと思います。
リスクを正確に報じず、可能性を意図的にゆがめて報道する姿勢が正しいものとは思えません。
リスクを正確に開示した上で、冷静な議論をしていただきたいものです。
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2010年12月2日 | コメント/トラックバック(2) | トラックバックURL |
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ご無沙汰しております。
アミタの堀口です。
おっしゃるとおりかと思います。
法令順守を100%厳密にできていないからといって
非難轟々というのは、どう見てもおかしいでしょう。
そのためのコストを消費者は絶対に負担しないでしょうし。
杓子定規な法令順守を錦の御旗にしてマスコミが騒ぐなど
レベルが低いとしか思えません。こんな報道をするより
この混入がどの程度のリスクにあたるのかも踏まえた報道
をすべきでしょう。
堀口 様 コメントありがとうございました。
法令順守をした上で、それでも異物として混入するリスクが残る以上、
極限まで努力をした上での混入は、リスクと確率のバランス評価が
必要ですね。
日本のみならず、メディアではリスク面のみが過剰(異常?)に
報道される傾向にあるため、消費者自身に正確な知識が必要な
時代となりました。