委託料金が安すぎて不法投棄されると・・・

鹿嶋の産廃不法投棄:違法委託で社長ら有罪判決--地裁下妻支部 /茨城

記事で注目したいのは下記の部分

 論告で検察側は、汚泥から環境基準を超えるフッ素やホウ素が検出された上、最終的に鹿嶋市の山林に不法投棄されたと指摘。弁護側は排出元の委託費が安すぎるなどと、適正な産廃処理が困難な業界の現状を訴えた。田島裁判官は「産業廃棄物処理業から手を引いている」などの事情を指摘し、実刑判決を避けた。

本件は刑事事件ですので、排出事業者の責任が問われていませんが、
不法投棄した汚泥などの撤去が進まない場合は、不当に安い委託料金で処理委託をしていたことにより、排出事業者に対し措置命令が発出されることは間違いありません。

フッ素やホウ素が含まれた汚泥ですから、おそらく製造事業者から排出されたものと思われます。

そのため、製造事業所側が委託料金の値下げを強烈に求めていたのではなく、処理業者側が顧客を増やしたい一心で、ダンピング営業をかけた可能性が高いのではないかと考えられます。

もしそうなら、強い取引先に無理やり条件を強制されたわけではなく、処理業者が自ら墓穴を掘っただけですので、他人に不法投棄の原因を押し付けるのはいかがなものかと思います。刑事事件の弁護なので仕方がない論法なのでしょうけど。

いずれにせよ、結果的に料金が安いために不法投棄が起こったのは事実ですので、
2010年改正で導入された「現地確認」を実施し、委託先の社風や操業状態及び経営状態を調査し、料金が適正かどうかを排出事業者自身が判断できるようにしておきたいところです。

料金の平均価格のような具体的な指標はありませんが、
不法投棄するしかない安さというのは、常識的な判断力を持った人なら誰でもわかるはずです。

不法投棄した産業廃棄物のうち、関与が裏付けられたものが45立方メートルですので、実際にはその10倍以上の汚泥が不法投棄されている可能性があります。
処理業者の事業場を見学すれば、未処理の汚泥が大量に堆積、あるいは「産業廃棄物運搬車」の表示が無い車の出入りが急増、または早朝夜間に搬出の車が一斉に出るなどの、怪しい兆候が多かったはずです。

現地確認は排出事業者への批判や、不名誉な出費を回避するためにも必要な投資活動ですので、適切に行うことが非常に重要です。

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