放棄された最終処分場の維持管理費1億5千万円也

6月21日のブログ 許可取消後の切り札とは

もはや「一事業者の経営問題」ではなく、「松山市のお荷物」として、市民も関与した行政負担のあり方を決める必要が出てきました。

と書いたところですが、松山市から市議会協議会において今後の維持管理費の見込み額が公表されました。

松山の産廃処分場:代執行20年で、維持管理費1億5000万円 市議会協議会で公表 /愛媛

 松山市菅沢町にある廃棄物処理会社「レッグ」(同市)運営の産業廃棄物管理型最終処分場(埋立容量約23万立方メートル)の排水処理施設について、同市は28日の市議会環境下水委員協議会で、行政代執行した市が今後20年間で負担する維持管理費用が1億5000万円に上る見通しを明らかにした。同処分場に持ち込まれた廃棄物が容量を約1万6500立方メートル超過していることも公表。市は今夏にも市廃棄物処理施設審議会を設け、同処分場の調査と維持管理などの手法を検討する。
 市は今月12日、停止中の排水処理施設を修繕する行政代執行を開始。同社に対して同19日に産廃処分業と同処分場の設置許可を取り消しており、刑事告発も検討している。
 この日の協議会は非公開で開かれ、市側は同処分場から流れる水質が安定する期間を20~30年と説明。排水処理施設の維持管理には電気代や水質検査費用など年間750万円かかるため、20年間で1億5000万円と試算した。さらに施設の老朽化で、建て替えの必要性も示唆。同社から費用を回収できる可能性は低く、代執行の費用がさらに膨れ上がる可能性が高い。
 また、市は昨年3月に同処分場の容量を測量した結果、約1万6500立方メートル超過を確認。同社は廃棄物の圧縮や処分場のかさ上げで対応する方針だったが、地下水路から基準値以上の水銀を含む灰濁水が流出したり、処分場の一部で陥没が発生したことから、地下の水路が破損していると判断。今年2月にかさ上げと圧縮を認めないとする指導文書を送った。このため容量超過の違法状態が1年以上続いている。市廃棄物対策課は「同社には撤去を指示している。撤去しない場合でも現状では崩れる可能性は低いとみており、費用を抑えるため撤去を代執行する考えはない」と説明している。

「最終処分場を設置した関係者の身ぐるみをはがしてでも回収」できれば良いのですが、日本ではそのように機動的な債権回収が困難であるため、市の試算どおりに負担額が膨らむ公算が大です。

問題発覚から許可取消まで1年超かかっていますが、
許可取消を迅速に行っていたとしても、残念ながら、松山市の負担額はそれほど変わらなかったと思われます。

松山市の試算する「年間750万円の維持管理費」は、最終処分場の維持管理費としてミニマムの経費であり、埋められている廃棄物の性状によっては維持管理費がもっと高額になる可能性があります。

排出事業者の現地確認の重要性は言うまでもありませんが、
今後は、行政の立入検査を「行政が負うかもしれない将来的なコストの削減のため」と位置付けて、
もっと頻繁に行う必要があるのかもしれません。

人員の縮小に伴い、年々それが困難になっているのが事実ですが、一考するべき課題であると思います。

視点を少し変えると、行政でも不正を見抜くのに時間がかかるわけですから、排出事業者が社会見学気分でおざなりに訪問するだけでは、ほぼ確実に相手方処理業者の信頼性を見誤ることになります。

厳しい言い方かもしれませんが、民間事業者は行政以上に真摯な態度で現地確認を行う必要があります。

高圧的に上から目線で「監査をしてやる」という態度はまったく役に立ちません。

硬軟入り混ぜて、相手の知られたくない弱点を見抜くことが大切です。

もっとも、それは一朝一夕にできることではないのも事実です。

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