意外と多いPCB廃棄物の不適正処理
PCB(ポリ塩化ビフェニール)が含まれる変圧器を不法投棄したとして、県警環境犯罪課は20日、東京都港区白金台3、不動産会社役員(55)ら男女5人を廃棄物処理法違反容疑で逮捕した。
容疑者は「処理費を浮かせようと思った」と容疑を認めているという。
容疑は今年3月、PCBを含む絶縁油が入った変圧器2台(重さ約300キロと約470キロ)を、匝瑳市川辺の空き地に埋めて処分したとしている。
同課によると、変圧器内に絶縁油は計約40キロ残っていたが、PCBの量は1台から1キロ当たり20ミリグラム、もう1台から同0・86ミリグラムと微量という。県が現場周辺の土壌汚染の有無を調べている。
PCBは専用施設で処分しなければならない特別管理産業廃棄物。変圧器はかつて容疑者の家族が経営していたネジ製造工場で使っていたものだという。
今回の事件では、空き地に変圧器が埋められただけですから、行為者に撤去させることも可能ですが、
変圧器内の絶縁油を何らかの方法で抜取り、専ら物として売却されたりすると、PCB入りの絶縁油がどこに行くかわかったものではありません。
ここ数年間でも、地方自治体や、大手飲料メーカーなどが保管していたはずのPCB廃棄物を紛失(?)してしまうという事件がありました。
PCB廃棄物は、微量PCB以外は日本環境安全事業株式会社(JESCO)の独占事業となっているため、処分費がかなり高額です。
今回の事件で不法投棄された変圧器をJESCOに持ち込んだ場合、JESCOの単価表によると、
300kgの変圧器は143万円、470kgの変圧器は204万円となっています。
この金額は処分費のみの金額ですので、別途収集運搬費用も掛かります。
JESCOの中小企業等処理費用軽減制度が適用されれば、処分費用の7割が軽減されますので、合計100万円ほどで処分できたはずですが、それでもやはり高額な処分費用ですね。
とはいえ、PCB特措法で、PCB廃棄物の処理が義務付けられている以上、適正に処理していく必要があります。
PCB廃棄物の場合は、ほぼ完全に行政に保管状況が把握されていますので、今回のような不適正処理をすると遅くても1年後には発覚します。
PCB廃棄物の不適正保管および不適正処理は絶対に止めましょう。
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2012年8月28日 | コメント/トラックバック(2) | トラックバックURL |
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コメント
> PCBの量は1台から1キロ当たり20ミリグラム、もう1台から
> 同0・86ミリグラムと微量という
この含有量ですと、微量PCB(高濃度PCBでなく)なのでJESCO
では処理してもらえず、廃棄物処理法に基づく無害化処理認定施設に
処理を委託することになるのではないでしょうか。
コメントありがとうございました。
廃棄された変圧器内に残った濃度だけを見ると、確かに微量PCBに該当する可能性があると思います。
実際のところは、PCBが使用されている変圧器の場合は、非常に高濃度のPCBが含まれているようですので、今回投棄された変圧器が元々PCB含有だったのか、それとも非意図的に混入された微量PCB汚染廃棄物だったのかで処理先が変わることになりますね。
http://www.jesconet.co.jp/customer/pdf/bunrui-shorihouhou.pdf
PCBを使用していないはずの変圧器であった場合は、ご指摘のとおり無害化認定施設での処理。
当初から絶縁油にPCBを高濃度含んでいた変圧器であった場合は、JESCOでの処理 ということになりますね。