ステラケミファ社をめぐる深い闇?

形式的にはわかりやすい違反に見えますが、上場企業の不透明な廃棄物処理に関与という闇が深そうな事件が起こりました。

11月1日付毎日新聞 廃棄物処理法違反:容疑で5人を逮捕−−府警 /大阪

 製薬会社が廃棄したポリ容器を無許可で処理していたとして、府警外事課は31日、枚方市の廃プラスチック輸出会社「日中商貿」会長、阿部子臣(ただお)(52)と、委託元で堺市堺区の産廃収集会社「ブルーエキスプレス」社長、坂喜代憲(53)の両容疑者ら5人を廃棄物処理法違反(無許可営業)の疑いで逮捕した。

 逮捕容疑は07年12月〜今年9月、堺市長の許可を受けずに廃棄されたポリ容器約1130トンの破砕処理を行ったとしている。

 府警によると、阿部容疑者は00年から、ブ社の敷地内で処理業務を始めた。ブ社は、親会社で東証・大証1部上場の製薬会社「ステラケミファ」から年間約1000万円の処理費を受け取っていたが、日中商貿に委託費を払わずに処理させていたという。一方、阿部容疑者らはこの処理物を中国に輸出して利益を上げていた。

大阪府警の生活環境課が検挙した事件ならそれほど驚きませんでしたが、大阪府警の外事課が廃棄物処理法違反を検挙というのは非常に珍しいことです。

「外事課」という捜査機関は、一般国民にとっては縁遠い機関ですから、TVや映画の印象しかありませんでした。

Wikipedia によると、

外事課(がいじか、英語 Foreign Affairs Division)とは、公安警察の中で、外国諜報機関の諜報活動・国際テロリズム・戦略物資の不正輸出を捜査する課である。外事警察とも呼ばれる。

とあります。

ここで事件の背景を整理しておくと、
排出事業者は、東証・大証一部上場企業のステラケミファ株式会社。
ステラ社が排出したポリ容器を、ステラ社のグループ会社であるブルーエキスプレス株式会社(堺市)が、年間1,000万円の委託費で、ブルーエキスプレス社の敷地で無許可処理を実行。
無許可処理には日中商貿という別会社も携わっていたために、日中商貿社長も逮捕。
という流れになります。

新聞報道ではごくごく簡単にしか経緯が書かれていませんが、廃棄物処理法や企業統治の観点からは以下の疑問が残ります。

1.なぜ外事課が検挙したのか?

報道ではポリ容器だけでしたが、事件の背後で、中国とからんだ戦略物資の不正輸出の疑いがあったのでしょうか?

2.ステラ社はマニフェストで最終処分の確認をしていたのか?

中間処理業者のところに廃棄物が行っていないと思われますので、マニフェストはどう運用されていたのでしょうか?

ステラ社が
E票の確認をしていなかったのなら、委託基準違反。
E票の確認をしていたとしても、著しくおかしな廃棄物処理フローを見落としていることになります。
名目上の中間処理業者の処理状況確認を怠っていたのであれば、措置命令の対象にもなり得ます。

いずれにせよ、製薬企業としては考えられないレベルのずさんなマニフェスト管理です。

3.ブルーエキスプレス社の社長はステラ社の取締役でもあるが、ステラ社は不正処理の事実を本当に知らなかったのか?

ステラケミファ社の 役員一覧 に 「取締役 常務執行役員(生産統括)」として、坂容疑者が就任しています。

4.ステラ社は実際に処理されていない産業廃棄物の処理になぜ1,000万円も支払ったのか

「3」の疑問ともリンクしますが、ブルーエキスプレス社は、日中商貿に1円も支払わずに廃棄物処理を手伝わせています。
ステラ社としてもその事実を知っていた可能性が非常に高いと思いますが、それでもなぜ1,000万円も支払っていたのでしょうか?
違法な支出であるならば、株主の利益を不当に侵害したことになりますので、株主代表訴訟が提起される可能性もあります。

そもそも

ブ社(もう面倒なので一字で略称)が、ステラ社のポリ容器を有償で買っていたら・・・
廃棄物処理法違反に問われることはなかったかもしれません。

誰でも思いつきそうな違法回避策ですが、そこをあえて廃棄物処理で乗り切ろうとした理由は一体なんだったのでしょうか?

関係者が無知だった?

無知だったとしても、廃棄物処理費を1,000万円も出し続けるのは合理的な行動ではありません。

取締役が逮捕されても、ステラ社がそれに関する報道発表を一切しないことも非常に不可解です。

考えれば考えるほど、裏に潜む闇が見えてくるような気がしました。

マスコミの方にとっては追及のし甲斐のあるネタに思えます(笑)。

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