無許可業者への委託で逮捕

廃棄物処理法の面からはかなり悪質な事件が発覚しました。

毎日新聞が一番詳細がわかりやすい記事を掲載していますので、下記に転載します。

2月5日付毎日新聞 PCB不正処理:木下不動産常務を容疑で逮捕…警視庁

 有害化学物質のPCB(ポリ塩化ビフェニール)を含んだ廃棄物を不正処理したとして警視庁は5日、木下不動産常務(46)ら10人を廃棄物処理法違反(委託禁止、管理票不交付)などの疑いで逮捕した。親会社の住宅建設会社「木下ホールディングス」(旧木下工務店、東京都新宿区)など5社も同法違反などで書類送検する方針。容疑者は当時、木下工務店の取締役で、「間違いない」と容疑を認めているという。

 逮捕容疑は11年8月、大田区のビル解体工事で、PCBを含む変圧器など計6台を廃棄物として処分する際、無許可業者に約600万円で委託したなどとしている。正規の処理では約1200万円かかるという。

 警視庁によると、6台は古物商などに渡った後、分解され、事情を知らないリサイクル業者が重油に再生して販売していた。

 木下ホールディングスは「事実関係を確認中でコメントできない」としている。

無許可業者にPCB廃棄物の処理を委託、
そして無許可業者が古物商に変圧器を転売、
PCBを含んだ廃油を重油に再生して販売 という生活環境保全上の支障が発生しかねない、最悪の結末です。

報道では、委託者である木下不動産や木下ホールディングスの関係者のみが逮捕されたようですが、今後PCB廃棄物の処理を請け負った無許可業者も逮捕されるのは間違いありません。

変圧器を買い取った古物商については、PCB廃棄物であることを知りつつ勝手に分解をしていたのであればPCB特別措置法違反となりますが、PCB廃棄物であることを知らなかった場合、罪に問えるかどうかは微妙になりそうです。

ただ、このような違法行為は、表面に現れていないだけでかなり他にもありそうです。

今回の事件のように、建物の解体などでPCB廃棄物の所在が不明になることがよくあります。

不動産業者やデベロッパーにとっては、一度は出くわす出来事なのかもしれません。

民間会社のみならず、行政機関においてもうっかりと違法な処理をしているくらいですので、かなりの違反があるものと思われます。

しかし、PCB特別措置法に基づきPCB廃棄物の保管の届出が義務付けられているため、こそっと最初から無かったことにすることは不可能です。

PCB廃棄物を発見(?)した場合、くれぐれも見て見ぬふりをしないようにお願いいたします。

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コメント

  1. さくパパ より:

    そもそも、変圧器は解体に伴って排出されるものではないので、ビルの持主等が排出事業者になるのでは?

    解体工事の場合、元々そこにあった物も含めて、解体業者等が廃棄物を処理委託しているのでしょうか?
    排出事業者責任は誰にあるのでしょうか?

  2. 尾上雅典 より:

    さくパパ 様 コメントいただき、ありがとうございました。

    ご指摘のとおり、本来は元々変圧器を所有、あるいは保管していた事業者が排出事業者になります。

    記事では詳細が書かれていないので推測でしかありませんが、今回は自社ビルかグループ企業が所有していたビルを解体し、そこからPCB廃棄物の所在が不明になったのかと思っています。

    もちろん、第三者のビルを解体して発覚した事件である可能性もあります。

    その場合は、本来の排出事業者ではないが、実質的に廃棄物を処理したという理由で、新聞などでは木下ホールディングスなどを排出事業者として扱っているのかもしれません。

    PCB廃棄物はそもそも解体の対象には入らない動産になりますので、事件の詳しい続報を聞きたいところです。


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