沖縄県名護市安和区が公共関与の最終処分場設置に同意

4月27日付 琉球新報 名護市安和区、条件付き同意 産廃最終処分場
(最終処分場候補地の写真付き)

 県が民間と共同で整備する「公共関与による産業廃棄物管理型最終処分場」の候補地となっている名護市安和区(幸地隆作区長)が、環境への配慮や地域振興策などを条件に建設に同意したことが26日、分かった。最終処分場は、ことし3月に設立した県出資の第三セクター「沖縄県環境整備センター」が事業主体を担う。本年度内にも双方で基本合意書を締結し、2014年度の着工を計画している。

 計画によると、最終処分場候補地は採石場で、埋め立て容量約15万立方メートル、埋め立て年数15年。埋め立て物の飛散を防ぐ屋根付きで、地面をコンクリートと遮水シートで覆い、処分場から出る処理水を外部に排出しないようにするという。

 安和区は15日に区民総会を開き、安和区行政委員会と安和区長連名で「整備のあり方や地域振興策等について継続して協議する」ことを条件に建設同意を提案し、賛成多数(約60人中反対1人)で承認された。

 26日、幸地区長は、視察のため同区公民館を訪れた県議会土木環境委員会(中川京貴委員長)に対し、区民から振興策として老人ホーム建設などの要望があることを説明した。幸地区長は「環境への影響がないということで同意した。区民の意見を反映したと思う」と語った。

 総会で反対票を投じた廃棄物処理システムを考える会共同代表の長山豊守さんは「これからも反対の立場を主張し続ける。総会ではなく、区民投票をすべきだ」と強調した。

本件に関しては、2012年11月22日に当ブログでも取り上げたところです。
沖縄で公共関与型管理型処分場設置の動きが始まる

2012年12月に実際に沖縄県名護市に行き、最終処分場候補地を公道から見てみましたが、直近にはセメント工場や砕石場しかなさそうに見えたため、処分場の立地としては最適の場所です。

有名な「沖縄美ら海水族館」が半径10km以内にあるため、施設の外観や廃棄物の搬入方法については相当高度な注意が払われるはずです。

60人中反対者は1人だけだったということで、自治会単位としてはほぼ賛成というところですが、ただ一人の反対者の方のコメント(沖縄タイムス

「隣接するセメント工場を活用した処理でも十分に対応可能で、環境へのリスクも低い」

にも、一面の真理があります。

ただし、セメントでの混練が不可な廃棄物もありますし、そもそも隣接するセメント工場の設備で混練ができるかどうかも定かではありません。

公共関与型の最終処分場の場合、住民に配慮した結果がどうかはわかりませんが、非常に狭く限定した廃棄物の受入しかしないところも多々あります。

今回の沖縄県の処分場の場合は、屋根を設置して雨水の侵入を防ぐことを前提とし、排水も外へは出さない構造のようですので、そのような制約を設けずに一般的な管理型処分場で受入可能な廃棄物を受入れるようにするのかもしれません。

15万立方メートルという埋立容量が若干少なく見えましたが、屋根で埋立場所を覆うという条件があるため、埋立面積が限られるのも仕方がないと言えます。

その分、受入単価がかなり高くなりそうですが、それでも沖縄県外での最終処分に依存している現状よりは経済合理的になるのかもしれません。

埋立完了後は、美ら海水族館と合わせて環境リサイクル公園として観光名所にすれば、地元の振興策にもなりますし、他の地域や国に向けた先進的なモデル施設になる可能性があります。

※ちなみに、民間事業者が設置した最終処分場跡地を環境リサイクル公園として再生し、無料で一般開放しているという国内最大の成功事例が既にあります。
 和泉リサイクル環境公園

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