モラルに期待するよりも、貝殻処理インフラの整備が必要

2013年6月17日付記事 ホタテ残さの不法投棄で青森市漁協関係者が検挙される の続報です。

毎日新聞 2013年08月14日 地方版 不法投棄:漁師10人、陸奥湾に 青森海保、書類送検 /青森

 養殖ホタテの貝殻などの残さを陸奥湾内に不法投棄したとして、青森海上保安部はこのほど、青森市漁協の理事(75)ら40〜75歳の漁師の男10人を廃棄物処理法違反容疑で青森区検に書類送検した。理事らは「悪いと分かっていてやった」と全員が容疑を認めているという。容疑は、5月17日と22日、青森市の原別漁協で、ホタテ養殖用のネットを洗浄した際に出た貝殻などの残さ計約500キロを排水溝を通じて陸奥湾に捨てたとしている。

6月中旬に検挙、8月中旬に書類送検と、青森海上保安部の事件処理能力は非常に高いようです。

捨てた人、捨てられた物、捨てられた場所、捨てられた日時などが、事件の初期段階から判明していたことも、事件の早期処理につながったのだろうと思います。

さて、もちろん不法投棄は重大な犯罪なのですが、
「悪いと分かっていてやった」という言葉のとおり、不法投棄をせざるを得ない状況を変えない限り、遅かれ早かれ不法投棄は再発するものと思われます。

漁業者が海に廃棄物を不法投棄する理由としては、
やはり廃棄物の処理コストが一番大きなものではないかと思われます。

廃棄物処理費を楽に吸収できるレベルにホタテの市場価格を上げることも一つの解決策かもしれませんが、
漁業者の経営状況が市場価格に反映されないのが、農産物や海産物の弱いところ。

一朝一夕には値上げは難しいでしょうし、流通を押さえている組織・団体がそれを許さないと思います。

ではどうするか?

漁業者や地元行政、あるいはファイナンスによって資金調達をしてでも、各地域において、ホタテ貝殻処理専用施設を設けるべきではないでしょうか?

行政からの補助金、あるいは公設民営、または漁業が自力で資金調達をする方法があります。

ファイナンスの具体的手法は専門家の解説に譲るとして、
ホタテ残さの不法投棄で青森市漁協関係者が検挙される にも書きましたとおり、
ホタテ貝殻は事業系一般廃棄物になりますが、その地域に対する良いイメージを守るためにも、行政が廃棄物処理を助力してあげることが必要ではないでしょうか。

金を出すのが難しいのであれば、資金調達の専門家や、地域振興のプロを紹介してあげるのでも良いと思います。

現状のままでは経営の先細りが懸念される漁業者に対し、「不法投棄は犯罪だ」と居丈高に言うだけでは、問題は解決しません。

地域全体に波及しかねない不祥事ですので、地域でより良い解決策を考えることが大切だと思います。

このエントリーを含むはてなブックマーク

タグ

トラックバック&コメント

この投稿のトラックバックURL:

コメントをどうぞ

このページの先頭へ