売ったはずのスラグからフッ素等が流出

処理費削減のためのリサイクル偽装なのか
それとも、単に“廃棄物処理費”としての計上を嫌っただけなのか

いずれにせよ、会社としての対応を一つ誤れば、逮捕者が出かねない報道です。

2014年1月28日付 毎日新聞

 東証1部上場の鉄鋼メーカー「大同特殊鋼」(名古屋市)が、渋川工場(群馬県渋川市)から出た有害なフッ素や六価クロムを含む「鉄鋼スラグ」を再生資材として業者に販売する際、販売額より高い費用を払っていたことが分かった。高額な処分費用を免れるため、「引き取り料」として支払っていたとみられる。こうした取引は「逆有償取引」と言われ、廃棄物処理法の適用を受ける。群馬県は27日、今回の取引について同法違反の疑いがあるとして同社を立ち入り検査した。

 同社のスラグを砂利として使った渋川市内11カ所からは環境基準を超えるフッ素などが検出されている。

 毎日新聞が入手した契約書によると、大同は2009年7月、大同の子会社を通じて同市内の道路用砕石会社にスラグを1トン100円で販売する一方、砕石会社に対し「販売管理費」として1トン250円以上(出荷量に応じて変動)を支払う契約を結んだ。

 販売管理費は12年6月の契約更新でなくなったが、代わりに、砕石会社がスラグ入り道路資材を建設会社に販売する際、工事現場までの輸送費を大同が肩代わりするほか、資材の在庫置き場の賃料や事務手数料などとしてスラグ代金(1トン500円)より高い費用を大同が負担するようになった。同工場では年間約2万トンのスラグが生じる。

 大同は契約書の内容を認め、「販売代金より製造、運搬のコストが高くなる場合がある」としている。砕石会社の社長は「うちは大同の指示で動いているだけ。リスクを抱えている以上、大同の負担は当然のこと」と話した。

記事では、「処理費削減のためのリサイクル偽装」を暗示する表現がされていますが、現段階でそこまで言い切るのは早計かと思います。

スラグの売買契約書とは別に、廃棄物としての収集運搬委託契約書や処分委託契約書が存在していれば、同社の取引自体は合法となる可能性があるからです。

ただ、この手の方法で取引がなされる場合、上記のような2種類以上の契約が同時に締結されることは少なく、裏で(処理)手数料を支払いながらも形式だけ“売買契約”というリスク管理しかしていない企業がほとんどです。

もちろん、販売したからといって、スラグから有害物質が溶出しても無関係というわけにはいきません。
むしろ、製造者・販売者としての責任の方が、排出事業者責任よりも重いと言えるでしょう。

“財務諸表の形式を整えるため” 

あるいは

“廃棄物処理委託契約が煩雑だから”

という理由から、形式的に有価物の販売を装うのは、本質的な意味において非常にリスキーな行為です。

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