伊賀市がPCB廃棄物を紛失

あってはならないミスですが、行政機関であっても人が運営する組織である以上、この種の法律違反は定期的に発生しています。

※参考
当ブログ2009年8月3日付記事 長崎県土地開発公社がPCB廃棄物を不適切に処分

2014年5月2日 17:43 伊賀タウン情報ユー 有害物質のPCB廃棄物を紛失 伊賀市が公表

 保管していた有害物質のポリ塩化ビフェニル(PCB)廃棄物が一部不明になったとして、伊賀市が5月2日、県条例に基づく紛失届を提出したと発表した。

 所管する市管財課が午後4時から記者会見を開き、経緯などの説明し、謝罪した。2012年度実施の市役所北庁舎解体工事で、1階の電源室内で保管していた9つあるPCB廃棄物のうち、廃高圧コンデンサー2台が今年3月の確認時に紛失していることが判明したという。PCBが含まれている絶縁油の量は1つが9リットル、もう一つは19リットル。

 管財課の説明によると、9つあったPCB廃棄物は92年6月に市が県から北庁舎を購入した当時から、同じ電源室内で保管していたという。残っている7つは、ドラム缶とプラスチックケース、金属ケースに分けて保管しており、同年9月8日に南庁舎内の保管場所へ移した。

 紛失の発覚後に、関係者への聞き取り調査を行った結果、不明になった最大の要因は管財課と工事担当の建築住宅課の職員双方が移設する前後に数量や保管状態について確認作業を怠ったことだと説明。紛失した2つのPCB廃棄物は庁舎解体工事期間中の9月24日から10月10日ごろの間、金属スクラップと一緒にリサイクル業者に搬出され、製鋼原料として販売された可能性が高いという。

 市は同業者に対し、会社敷地内で発見または販売先からの情報が入った場合は連絡するよう協力を要請した。市の見立てでは、既に製鋼原料として電気炉で溶解されている可能性が高く、今回不明となったPCB廃棄物による周辺環境への影響は極めて少ないとしている。

 今後の対応について、市は「県から再発防止策の指示後、管理体制の見直しや強化を行うとともに、現在保有しているPCB廃棄部は法律に基づいて処理完了まで引き続き適正な管理を行う」としている。

気の利いたリサイクル業者であれば、コンデンサーの買取依頼があった時点でPCB廃棄物か否かをチェックするものですが、
やはり責任が一番重いのは排出事業者である伊賀市。

元々は伊賀市が使っていたコンデンサーではなく、三重県が所有していたものだったようです。

現在のPCB特措法では、PCB廃棄物の譲渡が禁止されていますので、今回のように排出事業者責任が移転することはあり得ませんが、
1992年にはPCB特措法がまだ制定されていませんので、伊賀市にコンデンサーの処理責任が移ることとなりました。

今回の事件は人為的ミスですが、「管理体制の見直し」という抽象的な事後策だけでは不足と考えられます。

例えば、PCB廃棄物の保管容器に、「外部への搬出不可。動かす際には管財課にまず相談すること」等と紙を貼って、小学生でも危険物だとわかる注意喚起を行う必要があります。

今回は行政機関の不手際でしたが、「担当者の認識不足」というあらゆる組織・団体において共通する問題でもあります。

PCB廃棄物に限定せず、身の回りの廃棄物や危険物の管理に問題がないかを、この機会に振り返ってみるのが良さそうです。

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